死神と逃げる月

□全編
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《ビリー・ジョン》




奴の名は、ビリー・ジョン。




秘密結社「バックギャモン」が生み出した、恐ろしい怪物だ。




「やい、ビリー・ジョン。今日こそは正体を暴いてやるぞ」




僕がそう言うとビリー・ジョンは、寝そべったまま耳を立てた。




普段はゴールデンレトリバーの姿をしているが、僕は知っているんだ。




「たん!たーん!それビームだぞ!」




雪の降ったあの日、奴は体じゅう真っ白の「雪おおかみ」に変身したんだ。




恐ろしい怪物から平和な街を守るため、マントとリコーダーでそらゆけ小さなヒーロー。




「たーん!た……」




「BOW!!」




まずい、一時退却だ。




無理はしないのがヒーローの掟。




何故ならヒーローは簡単に負ける訳にはいかないからだ。




「ようし、新しい作戦が必要だな。それかもっと強い武器を調達してこよう」




するとビリー・ジョンは家の方を見て尻尾を振り始めた。




これは秘密結社の人間がビリー・ジョンの様子を見に出てくる合図だ。




続きはまた明日、学校が終わってからにしよう。




僕は物陰に隠れながら、その場を離れた。




「ほら、ハナ。散歩に行くよ」




秘密結社の人間が奴を連れて行く。




奴の名はビリー・ジョン。




恐ろしい怪物、ビリー・ジョン。
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