短編

□both sides
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今日はすごく天気がいい。
きっと、屋上は気持ちがいいんだろうな。




早く



早く



早く、会いたい。






both sides






「阿部 君っ!」

「おー、三橋。」


今日は阿部君とご飯を食べる約束をしていた。


「ご、ごめん、 遅くな、った…」

「全然、遅くねェーよ。」

「…良かった。」


阿部君を待たせたくないから、急いで屋上まで上がって来たけど…
この様子だと、大丈夫みたいだ。


(急いで、良かった。)


「早く、昼飯食おうぜ。
オレさ、すげー腹減ってたから、」
三橋が早く来ねェーかなって思ってた、って言った阿部君は、すごい素敵な笑顔で、オレは思わず ドキッ、とした。


「本当に、ごめん…。」

「謝んなくて、いいって。」

そう言うと阿部君は、先にお弁当を開けた。

オレは阿部君に続けて、お弁当を開けた。


(………びっくりしたぁ。)


心臓がドキドキして、五月蠅い。


(こんなじゃ、ご飯に集中、出来ないよ…。)




でも、


この時間が続けば、いいなって思った。














「ーそいえば、三橋とは初めてだよな、
一緒に食べんのって。」
「…うん。」


だから、阿部君を誘ったんだ。
一緒に食べたいと思ったから。


「また、さ、誘っても…いい?」


阿部君は少し驚いた顔をしたが、すぐいつもの顔に戻って笑った。


「オレは 前もって言ってくれれば、かまわねぇよ。」

「そ、それじゃ、
明日もい、しょに食べよっ!」

「別にかまわねぇよ。」
「ありが、とう。」

「…礼、言うほどじゃ、無いだろ。」


阿部君はそう言ったけど、オレは感謝でいっぱいだ。
明日も阿部君と一緒にいれるんだから。



ーもう予鈴がなる頃かな?
予鈴がなってしまうと、阿部君と別れちゃうけど、…大丈夫。


明日も、ここで会えるんだから。
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