記念作品
□-Snow Christmas-
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霧雨のような雨が急に降りだし
私の髪をしっとりさせた。
来ない…よね…
来るわけないよ…
こんな寒い雨の中…
行き交う人々は皆楽しそうで
幸せそうだった…
「メリークリスマス!!」
「メリークリスマス!」
「…キライだ……クリスマスなんて…」
涙で曇る目をゴシゴシ擦って見た時計の針は19:30になっていた。
来ない…
来てくれる筈がない…
そう、頭ではわかってるのに…
感情-きもち-が伴わず、私はその場を動けないでた。
「…そうだ……」
このままじゃダメだ
自分の気持ちに切りをつける為
私はある事を決めた。
この霧雨が
雪になったら…
もう少しだけ
待ってみよう…と…
バカ気てるとは思った。
でも、何か理由をこじつけてないと
自分の想いに諦めがつかないと思って…
……でも…
結局雨が雪になる事はなく
私の手足の温度が冷えてゆくだけだった…
「…もう……いいよね…」
時刻は21:30を回っていた。
かじかんで、地面に張り付いた足を
ゆっくりと動かし
私は自分の家へ向かって歩き始めた。
と、
その時……
背後から暖かいモノが私の肩に掛けられた。
「え?…」
それはコートで
そのコートごと私を抱き締めている両腕は……
「悪ぃ…待たせたな……」
吐息が触れるくらい近くで聞こえるこの声は……
「…どういったのがお前の好みかわからねぇから…店の店員に選ばせたモノだ…
気に入らなきゃ捨てていい」
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