A Novel
□REB〇RN!ネタ
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*スパナの不思議(スパ正)
技術畑出身と言うと体力がないと思われがちだがスパナは正一と違い運動神経もよかった。
「はぁはぁ…待ってよスパナ」
備品倉庫に行って必要な物を手に二人で急いで研究室まで戻る、白蘭を倒すためには一分一秒も無駄にはしたくない。だがしかし、スパナの足はただ早歩きをているだけなのに正一よりも明らかに早かった。
「正一…遅い、ウチ先に行くぞ」
「スパナが早いんだよ。」
「……体力もないんだな正一は」
「うるさいなぁ…」
スパナに追い付こうとすればするほど息が上がる。確かに自分でも体力は無いと思っていたが…その前に足の長さも違うだろ。
正一は心の中でそう呟くとまた歩きだした。
*********
「スパナは足が長くていいな」
「…は?」
作業の休憩中、正一は思っていた事を正直に口にしてみた。案の定スパナは小首を傾げて何の話しだ…と言う顔をしている。
「昼間…僕は君に追い付けなかった。きっと足の長さが違うからだよ」
「ああ、そうかな…?」
「そうだよ、だってホラ」
正一は胡坐をかいていた態勢からスクッと立ち上がるとスパナに作業着を見せた。
実は自分の作業着がない正一はスパナに作業着を借りていたのだ。
「ホラ、裾が余る」
「…まぁ確かに」
裾を折って丈を調節していた正一は…今気付いた…というリアクションのスパナにため息をはいた。
「やっぱ日本人は足が短いんだ…」
「正一…正一は細いからバランスがとれてると思う」
「それ誉めてないよね」
それで何の慰めになるんだ、とでも言いたげな正一はスパナの真横に腰掛け足を伸ばして見せた。
「スパナもやって」
足の長さ比べ、短いのは認めるがスパナの足とどれだけ長さが違うのか正一は気になった。
「正一は下らない事でも探求するよね。ウチはそんな所も尊敬するよ」
「だから…誉めてないよねそれ」
ガクリと肩を落とす正一にスパナはやれやれと足を伸ばしてみせた。ズイと伸びた足…、それはやはり正一よりも長くスパナ愛用の作業ブーツを差し引いても正一より10センチ以上は長かった。
「…スパナの身長って?」
「178ぐらいかなぁ…(仮)」
「僕は172だよ…(仮)」
シーン
ますます落ち込む正一…男二人肩を並べて足の長さ比べ。なんて滑稽な絵図らなんだ…自分が言い出しっぺのくせに正一はその場に仰向けに倒れた。
「なんで外人は皆モデル体型なの」
「正一はよけいな事を気にし過ぎる。人種が違ければ体格だって違う…学校で習っただろ?」
そりゃ…そうだけどさ……
変な所で真面目な答えを返してくるスパナ。スパナ相手に自分は何をしてるんだろう…と正一は目をつぶった。
「やっぱ日本人的にはうらやましいと思っちゃうよ」
「でも正一…」
「ん?」
「ウチの体には正一はピッタリだ」
!!!!!!!!!
そういうとスパナは仰向けになった正一に抱きついた。足を絡ませ、まるで抱き枕でも抱くように……。
「ス…スパナ!ちょ…」
「正一…折れそうウチ心配」
「自分だって痩せてるくせに」
強制的にスパナの胸に顔を埋める形となった正一はおとなしくスパナの抱き枕になってやった。スパナの繋ぎやシャツからはオイルの匂いがして、正直良い匂いがするとは言えないが、たまには他人に体を触れられるのもいいか…とスパナの好きにさせた。
なにより二人とも機械オタクで人と触れ合う事なんて少ない。スパナは知らないが、正一はこうやって誰かに抱きしめられたり、抱きしめたり…なんて人生で一度も経験した事がなかった。今日…今がはじめて。
「正一…いい匂いがする」
腕を回されますます抱き枕とかした正一。スパナの顔の下にちょうど正一の頭が位置して鼻に髪がかかる。
「そのセリフ…女の子に言ってあげなよ」
「イタリアの女性は香水の匂いしかしない。ウチは香水の匂いは好きじゃないから」
「ふーん」
「正一は食べたくなる匂いがする」
「…………」
「正一?」
「スパナ…スパナってゲイじゃないよね」
「ウチは機械が好きだ。次に正一が好き」
「ス!スパナぁぁぁ!」
終わり