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□チビ明日菜シリーズ!
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〜計画、そして悲劇〜


「……これはどういう事ですか、お嬢様?」


朝、643号室に来た刹那が低い声で目の前の木乃香に問う。
そんな刹那の腕の中には青と緑の瞳をした小さな少女が一人。
木乃香はその少女の頭を撫でながら笑って言った。


「かわええやろ?小っこいアスナ」
「はい……って、そういう事じゃなくて!なぜ明日菜さんが小さくなっているんですか!?」


思わず本音が漏れてしまった刹那。
そう、刹那が抱いているのは何故か小さくなってしまった明日菜。
明日菜(推定三歳)は刹那に抱かれたままキョトンと二人を見ている。
その視線にたじろぎながらも刹那は木乃香を諭す。


「元に戻してください」
「無理や」
「どうしてですか!?」
「薬の説明書には効果が一日続くって書いてあるもん」


ほれ、と説明書を刹那に見せる木乃香。
そこには確かに木乃香が言った通りの事が書いてある。
刹那は殆ど投げやりな態度で更に聞く。


「どうしてこんな事をされたのですか?」
「あれや、光源氏の計画」
「は?」
「小さいうちから唾付けといたらアスナはウチにぞっこんラブになるやろ?」
「…………」


もはやグゥの音も出なかった。
木乃香はそんな刹那をよそに抱かれている明日菜に近づき、極上の笑みを浮かべて言った。


「アスナー、アスナはウチの事が好きやよな?」
「んー……うん!」
「〜〜っ!」

薬の影響か、思考まで幼くなった明日菜に悶える木乃香。
何処からどう見ても怪しい人である。


「じゃあ大っきくなったらウチと結婚しよな?」
「しにゃい」
「…………はい?」


耳を疑う木乃香。
そんな木乃香の様子を気にも留めないで明日菜は満面の笑みを携えて元気よく言う。


「わたしはせちゅなさんとけっこんするの!」
「へっ!?わ、私ですか!?」


急な事に驚く刹那に明日菜は。


「わたしはせちゅなさんがいちばんすき!」
「明日菜さん……!」


明日菜(推定三歳)の笑顔に昇天寸前の刹那。
しかし、それはすぐに引き戻された。


「……せっちゃん?」
「お、お嬢様……!」
「ウチのアスナに手ぇ出すなんてええ度胸しとるな」
「や……これは不可抗力……」
「アスナ。ウチとせっちゃんお話があるからのどかのトコに行っとき」
「?わかった」


ピョンと刹那の腕から飛び降りて部屋から出て行く明日菜。
今から自分の身に起こる事を想像してカタカタと震える刹那。
どこから取り出したのかトンカチを振る木乃香。

そして……地獄の門が閉まった……





「ア、ア、アスナさん!?」
「ほんやちゃん、おなかすいた」
「ちょ、ちょっと待ってて下さい!すぐに朝ごはん用意しますから!」
「うわ〜、いいんちょが見たら失神しそうだね」
「アホですか……と、言いたい所ですが今回はハルナの意見に賛成です」


図書館探険部の三人が明日菜(推定三歳)に感動したのと同時に、哀れな護衛の悲鳴が寮に響いたそうな。



FIN。。。
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