青い空と白い雲

□1・少年
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試合開始を告げるサイレンが鳴り響く。

私は、それを聞いて動けないでいた。
 
目の前を沢口や東谷が元気よくグランドに向かって飛び出して行く。

それでも、私は動けない。
 
グランドが眩しいくらい光って見える。

 
動けない私の背中を誰かがドンと軽く叩いた。

どうやら、豪が、キャッチャーミットで叩いたらしい。


「今日も頼むぞ、相棒。」

そして、彼もあの輝くグランドに走って行く。

 
―― 待って、豪。私も行くから、置いていかないで。――

叫けぼうとしても、声が出ない。
慌て彼らを追い掛けようとしても体が動かない。


―― 私は…。もう、あの場所へは行けない。――  
 
もう一人の私が、耳元で悲しげに囁いた。


絶望感が、圭を包み込む。

手から野球ボールが音もなく、こぼれ落ちた。

そして、辺りは暗闇に染まる。




++ 1・少年 ++

 
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