私は、関係ないです。

□act.18
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頭痛い…

ぼーっとする…

誰か助けて…


「…名無し?」

誰かに呼ばれて、少しだけ目を開いた。

ぼんやりとした視界の中で、誰かに顔を覗き込まれてる。


『ぉ、……ちーちゃん、おはよ。』


「今は夜よ。大丈夫?」

『もう夜かー…さっきまで明るかったのに。』


…やべぇ、超恥ずかしかった。

なんか勝手にちーちゃんのことお母さんって言おうとしてたよ自分。

うわ恥ずかしい!!

熱恐るべし!!


「私今日泊まっていくけど、いいわよね?」


『え…うつるよ?』


「平気よ。それに名無しのことだから放っといたら何もしなくなりそうだし。」


『………?』


どういう意味だろう。

よくわからないけど、おでこに置かれた手が冷たくて気持ちいい。


『あー…久しぶりに風邪引いた…』


「そうね。私も久々に見たわ。」


私は滅多に体調を崩さない。

だってちーちゃんに迷惑かけるし、1人で出来ることも出来なくなるし。

すごく体調管理しっかりしてるんだぜ((どや


「体温計はどこ?」


『そこらへん…さっき測ったら38度だったよー。』


「布団もかけないで…何やってるのよ。」


なんかちーちゃんまじでお母さんみたい。

バサッ、と勢い良く布団が敷かれる。

ちょ、重い重い重い!!

熱じゃなくて窒息死するよこれ?!


『うぅ…ちーちゃ無理(に看病)しないで。』

「それはあなたの方でしょう?」


いやあなたに看病は無理って分かってください切実に。

ちょ、せめてしーちゃんいないの?!


『しーちゃんは…?』


「マネージャーなんだから、まだ部活よ。」


『あーそっか…。』


そうだテニス部って終わるの地味に遅いんだよね。

帰り道はきっと車だろうからいいとして…


『姫野サンと2人で平気かなぁ…』


そこが一番心配なんだよね。


「…姫野さんなら、もう来ないでしょうね。」


『…あー……そっか。』


そうだ忘れてた。

それ以上は聞くまい。


とにかく、しーちゃんの心配しかしてないからいいか。


「何か食べたの?」


『お腹すいてないし…作るの怠い…』


「…そう。」


って、ちーちゃん何で出ていくの?

え、まさか私の為に何か作ってくれたり…?!



「そう言うと思って、うちのシェフに作らせたのを持ってきたわ。」



そうきたかぁぁぁぁぁぁ。

まぁいいけどさ…ちーちゃん家のご飯おいしいし…

贅沢すぎるぐらいだし…


『じゃあ遠慮なく。』

「食欲あるんじゃない。」

『ちーちゃんの家のシェフのご飯ならいつでも食べれる。たとえ海の中でも。』

「例えが微妙よ。」


いいじゃないか。

…おかゆまでも美味しく感じるってすごくないか?
だしから高級なんですね、わかります。

「…明日には私、帰るわよ。大丈夫?」


『平気へいき。ぼっち上等。』


「…まぁ、大丈夫だと思うわ。」


…ん?

なんか微妙に会話が噛み合ってない気が…

気のせいかな?いや、気のせいではない。

こんな例文を反語といいます。


『ふぅ…ちーちゃん、お風呂は勝手にどうぞ。布団はないので私の隣でよければ。』


確実に風邪が移るVIPベッドにご案内ー。


「あら、そう?じゃあそうするわ。ふふ、2人で寝るなんて懐かしいわね。」

『まさかの断らないぱたーんか。』


すんなりおっけいしちゃったよ。

しかも今日機嫌良くないか??

何かいいことがあったんだろうなぁ…

ちーちゃんが嬉しいと私も嬉しいさ。

なんて言ってみたりして。


『…私先寝てていい?』


「どうぞ。私もその内寝るわ。」


ちーちゃんは着替えを持って部屋から出ていった。

その数秒後に、私の意識はフェードアウトした。
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