私は、関係ないです。

□act.16
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走った廊下に水滴がぽたぽた落ちる。

そんなの気にしないで全力で部室に向かった。 

途中出そうになるくしゃみは無理矢理抑えた。



―ガチャッ…


『仁王君ー…』


って、いるわけないか。

早く来てくれよ仁王君ー…寒いよー死ぬよー…


とりあえずそこら辺にあるタオルに体を包んだ。


…てかこのタオルとか、畳んでないじゃん。

今日の朝練、担当姫野サンか。

…あのやろう…まじでマネージャーの意味ないでしょ。


―ガチャッ。


「名無しー…って、なにやっとるんじゃ。」


『寒いんだ仁王君。君で私を温めて。』


「はっ?!」

『変な方向に捉えるな。君の“ジャージ”で、です。』


確かに今の言い方は私が悪かったね。

ごめん。


「制服でプールか?やるのぅ。」


『違いマス。』


ニヤニヤしながら冗談言わないで。結構むかつくから。


仁王君がジャージを投げてくれた。

…ちょっと期待してたけど、やっぱテニス部のジャージかよ。


『…これ私が着てもいーの?』


「名無しだから、ナリ。」


『は?!』

「冗談ぜよ。」



さっきの仕返しかい。

ちょっとドキッとしたじゃんかこのやろうーッ!!

まぁいぃか。素直に借りよう。


どうせあと30分くらいの我慢だし。


『ごめんね。洗って返すね。』


「別によか。」

『いや洗って返す。』

だってこんな水吸ったの返せるか。

…あーこれ風邪確実かな。

だって濡れた制服の上から着てるもんね。


…普通脱ぐべきなんだろうけど、人様のジャージに下着ってわけにもいかないでしょう。

耐えろ私。


「名無し、脱がなくていいんか?」

『仁王君が言うと卑猥すぎて嫌。』


「ククッ…なんなら手伝うぜよ。」


『結構です!我慢するし。』


さっきより寒さ緩和したしね!



「まぁ明日は週末じゃし、風邪引いたら看病してやるナリ。」


えぇぇぇぇぇぇちょ、おま(^q^)

看病イベントのフラグ立てんなやぁ!!


『大丈夫、ちーちゃんがいるから。』


「連れないのぅ。」


それに明日休日でもテニス部部活あるでしょう。

私に構ってる暇あるなら勉強しなさい!

間違えた、テニスしなさい!



『…あ。じゃあ私部活出なくていんじゃん。』


「何言っとるんじゃ?」

『風邪引いた時の話。』

「まぁ明日は午前練じゃ。無理しなくていいナリ。」


そう言って仁王君は私の頭を撫でてくれた。

…え、なにそれときめく。


『…仁王君て変だよねー。』


「失礼じゃな。」


『いやー何か掴みにくいって言うかさ…』


「ピヨッ。」


でたな仁王語。

何でもそれで誤魔化すのはよくないと思うー。



『…あ、チャイムそろそろ鳴るかなー。』


「知らん。」


私もわかんね…って、携帯見ればいんか。

『…ん?』


―――――――
新着メール3件
―――――――


珍しいなー…またちーちゃんかな?


「どうしたナリ?」

『いやメールが来ててとても珍しい。』


「…お前さん、可哀想じゃな…」


仁王君に同情の目でみられた。

べ、別に友達が居ないわけじゃないんだからね…orz
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