私は、関係ないです。

□act.08
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▼ある日の会議室


「…では会長、姫野雫のマネージャーを許可するということですか?」


「我々が手出しできない以上、そうなりますわ。」


あぁ、考えただけでおぞましいわね。

あんなのがテニス部のサポート…できるのかしら?


「そこで、姫野雫だけではマネージャーを任せられないという幸村君の意見を尊重して…私たちからも2人ほど、推薦してもらおうと思っています。」


ざわつく会議室。

当たり前ね。きっと皆チャンスと思ってる。


「では、投票制とします。」


隣に座っていた志乃が紙を配り始めた。

全員に行き届いたのを確認する。


「では、名前は書かなくて結構です。適任と思う人の学年と名前を2人書いてください。」


さて、私も書こうかしら。

とっくに決まっていることですし。



しばらくして、ペンの音が止まった。

志乃がそれを回収していく。

黒板に名前を書き、正の字を追記していく。



…ほら、やっぱりあなたなのね。



「では…193票、名無し名無し。75票、櫻井志乃。この2人でご異議はありませんか?」


圧倒的票差。

まぁ私も名無しにいれましたけど。


あら、私にも意外と入ってるのね。

私にマネージャー業は無理なことは皆さんご存知でしょうに…



「では、異議もないようですので、これからお願いしますね、志乃。」


「はいっ!」


元気よく返事する妹。


この子も名無しに懐いてるし、心配はいらないでしょう。

…問題は名無し自身がマネージャーを引き受けてくれるか、ですわね。



▼ある男子生徒目線


俺と彼女が会ったのは、あの屋上が初めてじゃない。

本当は前に1回だけ会ったことがあるんだ。

本当に僅かな時間だったけど。


2ヶ月位前、休み時間に窓から花壇を見ていた。

そしたら、外でバスケをやっていた馬鹿共のボールが花壇に飛んでった。

当然、花はぐしゃぐしゃ。

だけど本人達は気にした様子もなくバスケを続けていて、チャイムが鳴ったら校舎に戻っていった。


本当にあの時は殺そうかと思ったよ。←


次の授業は自習だったから、俺は外に出て直しに行った。


そしたら、彼女と会ってしまったんだ。


儚げに微笑んで、軍手もしないで素手で土を直して、また元に戻していた。

チャイムが鳴ってちょうど作業が終わったのか、彼女が俺の方を向いた。

普通の女子なら大抵顔を赤くするのに、彼女は何事もなかったように通り過ぎていった。


花壇はちゃんと元通りだった。


いろんな意味で印象的な彼女とは、正直会わないと思ってた。


で、次に会ったのがあの屋上。

いきなり俺に気づかないではしごに登って、叫び始めるし。

しかも下着見えてるし。


あの微笑みはなんだったんだと思うほどの叫びで、笑いをこらえるのが大変だった。

同時に嬉しかった。
彼女にまた関われて。


これが恋…なわけないか。

よくわからない感情だけど、居心地がいいのは確かだった。
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