OKADA'scafe
□星に願いを
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高速を乗り継いだ所で、山の向こうにどんよりとした雲があるのが見えた。
『あれ…確か天気予報は晴れやったよな…』
そんな会話をしていると、フロントガラスに大粒の雨粒がポツポツと当り始め
あっという間に、大雨に変わった。
「う…そ…」
疑いたくなるような天気に、二人は言葉も出ない。准一はとりあえずPAに車を駐車した。
ワイパーを止めると、滝のように流れる雨に准一はハンドルに両手を乗せたまま身を乗り出してフロントガラスから空を見た。
『降ってんなぁ〜』
「うん…降ってる」
准一は隣を見るとあこも、土砂降りの空を切なそうに眺めていた。
「あこ…」
シートベルトを外すと、准一はあこの方へ身体を向けた。
「…星どころじゃ…ないよね?」
まだ暗い空を眺めるあこに准一は顎に手を充てて少し考える。
『なぁ…あこ?』
「ん?」
『雨でも行ってみよか…』
あこはこの雨では星どころでは無いのは分かっているにも関わらず、そう言ってくれる准一に嬉しくなる。
「ん…ありがとう……でも、この雨じゃ…」
その残念そうに呟く言葉に、准一は余計諦めきれなくなる。
あこの肩に手を力強く置くと、准一は強引にテンションを上げる。
『なぁ、あこ…雨でも行ってみよ…いや、行こうや!』
こうして准一が押しきり、大雨の中、目的地を目指すことになった。
『中々無いで…大雨のドライブとか…』
「かもね…(笑)
なんかわかんないけど、わくわくしてきたかも…」
台風に直面した子供のようにあこははしゃぎ出す。
「音楽でもかけようよ!」
あこの選曲した一曲は、准一がコンサート前に聞くテンションを上げる曲だった。
そのお陰もあってか、目的地に近づくにつれて雨も弱くなってきた。
少し見え出した希望に二人は自然と笑顔が溢れた。