喫茶 GO


□リフレイン
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“でさぁ…剛、やっぱりホワイトチョコと麻婆豆腐は合わないって〜”



『……あれはあれでアリだっての…。』



深夜の電話。
いつもはあいつ寝てんのに珍しくあこから掛かってきたかと思うと、くだらないテレビの話。



『で、用件は?んだけかよ…』



“悪い?”



『もしかして、明日休み?』



“違うよ。”



『んじゃなんだよ…』



“……なんだっけ………”



この時俺は何も考えずに返事をしていて、最後に話した言葉さえ覚えちゃいない。



“ねぇ…剛……。今日の剛も格好良かったよ…”



『ったりめーだってーの…』



“剛の髭も、黒髪も…そうそう…横向いた時ね剛って喉仏が、ツンってなってんだよー(笑)”



『悪ぃかよ』



“そこが好きなの………”



変だとは思ったんだよな…
なんか言葉が重いっつーか…、葬式でもしてる空気が携帯を通してでも、ビンビン感じる。



“剛……私の事、好き?”



『ウザい。』



“もぉ…お願い……。ちゃんと言ってよ…もうこんな事、言わないから………ね、剛?”



『愛の言葉なんて、強制されて言うもんじゃねーだろっ?
はいはい、好きです。なんて言われても哀しくねぇの?』



“……女の子は其れでもいいから聞きたい時があるの………。”



『わかんねーな…』



最後は歯車の合わない言葉で、通話を終了したような気がする。
どんな話をしていたか…あことの最後の会話が何だったかなんて覚えて無くて…。






その電話を最後に、俺はあこに連絡が取れなくなってしまった。












【リフレイン】










喧嘩した覚えがあるわけじゃ無いし、何処をどう取っても連絡をあこと取れない理由が見つからない。



『クソッ…なんなんだよアイツ…』



仕方無く仕事帰りにあこの家へ寄る事にした。



『次の信号のとこで降りっから。』



マネージャーへ後ろから声を掛けると、剛は帽子を目深に被った。



『何処に行くんですか?』



『アイツん家。連絡、取れねーんだわ。』



『……そうですか。』



『止めても行くからな。』



『分かってます………。』



何時もは口煩いマネージャーも、剛の勝手な行動に観念したのかこの日は素直に車を停車させた。



『くれぐれも気を付けてくださいよ。』



『わーってる。……ありがとな。』



剛の言葉に返事もしないのは、あことの事をよく思って無いからだろう。




『…………明日は11時にお迎えに行きますから。』



そう言うと、マネージャーは車を走らせて行った。
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