OKADA'scafe


□声色
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『もしもし…あこ……?』



“ん…准?……”



『ごめん…寝てた?』



“ん…大丈夫。今終わり?”



『ぉん……。』



寝ていたであろうあこは、准一の深夜の電話に明るい声で出る。



『明日にしよか…寝てたよな?』



“もう起きたよ(笑)”



『そっか…だよな…(笑)』



“准……”



『ん?』



“仕事、忙しいね…”



『あぁ…まぁ…な。……なぁ、あこ?』



“なぁに?”



准一は腕時計の時刻が目に入ると、言いかけた言葉を飲み込んだ。



『あ、いや…いいわ、やっぱり……』



“よくないよ。”



『え?』



“私も逢いたいよ…”



『……えっと………。あれ?俺、逢いたいって言ったっけ?』



“ふふっ言ってないけど……当たりでしょ?”



『あー……そやけど…、なんで?』



“何で当たったか知りたい?”



『ぉん。』



“来てくれたら、教えてあげる…”




電話口の彼女はそう言うと、まだ眠そうな声で笑っていた。










【声色】







秋と云う言葉自体、何だか人恋しくなる。
それは“秋”と云う言葉が橙色と黄色と茶色のグラデーションの暖かさを想像させ、少し冷たくなった風が頬を撫でると隣に誰か居て欲しくなるからで…



そうだからと頭で判っていても、愛しい人に無意味に触れたくなる衝動に駆られるのは致し方無い事だ。



准一は彼女に甘えるのが得意な方では無かったが、何故かあこは何時も准一の所謂そんな時を理解してくれていた。



准一は仕事帰りの深夜のコンビニで適当に手土産を見繕い、あこのマンションへ急いだ。
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