創作場(花朔)

□女神と堕天使・5 〜堕天使の憂鬱,女神のmistake〜
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「では、先日お知らせしたように、今日は学園祭の出し物を決めたいと思います。何かいい案のある人はいませんか?」
柔らかい声で呼び掛ける朔羅。
相変わらず教室の中はざわついていたが、4月当初から変化したこともあった。文句がつきないながらも3−Dの生徒全員が毎日学校に登校するようになったのだ。
今まで3−Dの生徒を全員、毎日登校させた教師などいなかったので、学校中がこの予想外の事態に驚いていた。
しかもその偉業をやってのけたのは今年赴任してきたばかりの若い女性教師だ。教頭をはじめ、同僚の教師たちもこれには開いた口が塞がらなかった。
自分たちが何をしても全く変化を見せなかった不良たちを彼女はどうやって手なずけたのか。
大半の教師が首を傾げていたが、その中でヘヴン、そして理事長の2人だけはにっこりと笑っていた。
「つぅかさ、学園祭って何すんだ?」
クラスのざわめきの中で声が上がる。
「え?あの…、去年は何をしたんですか?わたしより多分、みなさんの方が要領が分かっていると思っていたんですが…」
困惑顔になる朔羅。
今年来たばかりの自分より、生徒たちの方がこの学校のことには詳しいと思っていたのだが…。違ったのだろうか。
「去年学園祭なんてあったか?」
「さぁ。てか、その日俺学校来てねぇし。」
「学校行事なんてかったるくてやってらんねぇよな。」
次々と告白していく生徒たち。その様子は実にあっけらかんとしていて、さもサボることが常識だと言わんばかりである。
「じゃ、じゃあ、みなさんは学園祭に出たことがないんですかっ!?」
「学園祭どころか、体育祭も、修学旅行も、行事と名のつくモノには全くと言っていいほど縁がないんだよね、俺たち。」
「詰まる所、俺たちがいると何をしでかすか分からんから、学校側が暗に来るなと言っているようなものだな。」
鏡の言葉を受けて十兵衛が締めくくる。
「そんなっ!高校生活で一度も行事の思い出がないなんて、そんなの悲しすぎますっ!今年は絶対参加して、素敵な思い出を作りましょう!!」
意気込む朔羅だが。
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