創作場(花朔)

□ Mermaid princess 
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「みなさん頑張っていますか?」プールサイドに朔羅の柔らかな声が響く。
「「「朔羅先生!!」」」
ここは名門GB学園高等部。今2−Aの生徒達は体育の授業中でプールに入っている。担任の筧朔羅はそんな生徒達の様子を見にプールへ足を運んでいた。21歳という若さで教師になった朔羅は生徒達にとってとても身近な存在でクラス内外、学年を問わず人気があった。加えてその優しさと美しさから女子からは姉のように、そして男子からは憧れのマドンナとして慕われていた。
「先生、今日私50m泳いだの!」
「俺もクロール上手くなってきたんだvv」レナとレンが嬉しそうに報告する。
「そうなんですか。二人ともすごいですね。」
にっこりと微笑みながら答える朔羅。朔羅達が和やかに話していると後ろからふいに声をかけられる。
「朔羅は本当に教育熱心だな。ガキどもがそんなに面白いか?」
朔羅が振り向くとそこには体育担当の不動琢磨が立っていた。不動はルックスはなかなか、そしてスポーツ万能なため女子にも人気があったが基本的に筋肉の塊で本能のままに生きている男である。その不動がなぜ名門のこの学園の教師になれたのかというと、実は不動の父親がこの学園の理事長で理事長の息子というコネを使って特別に採用されたのだった。そのことに不満を持つ者もたくさんいるのだが、不動は理事の息子ということで一般の教師よりも権力が強く、何かあればその後ろには理事長が控えているので、皆不満を言うに言えないでいた。そしてあろうことか不動は今年新任で入ってきた若く美しい朔羅に好意を抱いていた。一人っ子だった分欲しいものは何が何でも手に入れないと気が済まない性格の不動は何かあるごとにこうして朔羅にちょっかいをかけているのだ。朔羅と言えば不動の好意には気付いておらず、何かとしつこく言い寄ってくる不動を不思議に思っていた。
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