創作場(花朔)

□病院でのとある一日
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「おはようございます。今日も良い天気ですよ。」朔羅がカーテンを開けながら言う。

―風雅病院―  
ここはかの有名な風鳥院財閥が経営する総合病院である。大病院というと経営重視だと思われがちだが、この病院は超地域密着型の病院で、常に患者を最優先し、自分の持てる最高の技術と情熱を持って患者とその家族に接することを理念としていた。そのため患者とその家族からの信頼は厚く、連日多くの人がこの最高の医療と心遣いを受けるために来院していた。

「ふぁ〜っ、おはよぅ、朔羅。ホントだ。良い天気。」
起きたばかりの1人の子があくびをしながら言う。
「うふふっ。今日は暑くなるそうですよ。あっ、そういえば今朝向日葵が咲いたんです。後からみんなで見に行きませんか?」
朔羅がにっこりと提案する。
「ひまわり!?うん!!見たい!!」
子どもたちが口々に叫ぶ。この305号室には5人の子どもたちが入院している。そしてこの5人のお世話をしているのが看護師の筧朔羅だ。綺麗で優しく、どんな時でも温かく包み込んでくれる姉のような、母のような朔羅が子どもたちは大好きだった。そして朔羅のそのとろけるような笑顔は子どもたちはもちろんのこと、他の患者たちをも癒していた。朔羅にはまさに「白衣の天使」という言葉がぴったりだ。朔羅と子どもたちがいつものように談笑していると、さーっとドアが開いて、3人の若い医師が入ってきた。
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