創作場(花朔)

□女神と堕天使・6 〜愛するということ、君が教えてくれたこと〜
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「おい、あれ、どういうことだ!?俺たちは客引きの役割はちゃんと果たしたっ!何で今さらこんなこと計画してんだよ!?しかも、ハグ、だと!?ふざけんのもいい加減にしろっ!!」
物凄い剣幕でまくし立てる。
「まぁ、落ち着けって。こ〜んないい商売滅多にないぜ?売り上げが上がればそれだけ打ち上げにも使えっし、いいだろ?
それに、お前もおいしいじゃねぇか。女子に抱き付き放題だぜ!?ホントは嬉しいんだろ?」
花月の剣幕に物応じもせず、さらりと流す。
「俺とお前の思考回路を同じにするなっ!しかもここにいる人間の半分以上が男じゃねぇか!!お前の目はただの飾りか!?」
「あれ?そうだっけかぁ?俺には女子の方が多い気がしてたんだけどなぁ〜。」
「まさか、お前、男ばっか集まったことの腹いせにわざとやってんじゃ…?」
「さぁな〜。おっと、話しこんでる場合じゃねぇ。早くいってやんな。お客さんが待ってるぜ、花月ちゃん❤」手をヒラヒラと振って追い返す。
花月の考えは図星だった。美女2人の効果で女子はもちろん集まってきていたのだが、それ以上に男性客がこの『イケメン☆カフェ』に来店していたのだ。
計画が大幅に狂った蛮はその腹いせと資金稼ぎのために2人を生贄にしたのだった。
見ると教室の片隅にはご丁寧にコーナーまで特設してある。その机の前にはすでに長蛇の列ができていた。
“あンの野郎…。後でぜってぇ血祭りにあげてやるからな…!!!(怒)”
そう思いながら渋々客が待っている場所へと歩いていく。
「あの、写真お願いしますっ!!」
「イイデスヨ(棒読み)」
「名前、呼んでもらえますかっ!?」
「えーと、何て呼べばよろしいんでしょう…」
「どうしたらそんな美人になれるんですか!?」
「それは親のDNAの問題では…?」
「やっぱり、お風呂タイムにこだわりとかあるんですか??」
「いつもシャワーなんですけど…」
写真、握手、写真、握手、写真…∞。数はこなしているはずなのだが、一向に列の長さが変わらないのはどういうことなのか。そして花月にはもう1つ不思議なことがあった。
客の相手をしてそろそろ30分は経つ。それなのに、自分のところにはただの1人も男が来ない。来るのは女性客ばかりだ。
いや、来ないならそれに越したことはないのだが、あまりにもおかしい。客の半分以上は男性だったはずだ。普通に考えれば2人に1人は男性の客が当たるようなものを。
花月がそう考えていたその時。
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