創作場(花朔)

□女神と堕天使・4〜闇さえ包む君の腕〜
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「おい、コイツ、ホントに3−Dの生徒かぁ?ありえねーくらい弱ぇんだけど。」
「大方、風鳥院の後ろに隠れてイキがってたんだろ?」
掴んだ前髪を離す。銀次の体はどさりと崩れ落ちた。
「おい、テメェ。携帯で風鳥院のこと呼び出せよ。もちろん、一人で来いって言えよ?」
「アイツにはいつも世話になってるからな。今日はたっぷりとお礼してやるぜ。」
「アイツ、女顔だから顔だけはボコらないようにして、女装させて写真ばらまくってどうよ?変態なオヤジとか高額で買ってくれそうじゃねぇ!?」
「それウケるな。んなもんばらまかれたらアイツのプライドガタガタだぜ。そうでなくても自分の女顔にコンプレックス持ってんのによ。」下品に笑う。
「そんなこと、させない…。カヅっちゃんは、呼ばない…」抵抗する銀次だが。
「テメェに選択権なんかねぇんだよ!殺されたくなかったら早く呼べよ!」
体中を複数人に同時に蹴られる。
「つーことだからよ、早く電話しろよ。『カヅっちゃん、助けてよぉ。じゃないと俺、死んじゃうよぉ』ってな。テメェはそれしか使い道がねぇんだからよ。」
「来ない、よ…。俺なんかの、ために。俺はもう、カヅっちゃんたち、の仲間じゃ、ないんだから…選ぶ相手、を間違えたね。」精一杯に笑ってみせる。
「んだとぉ?来ねぇってどういうことだよ!?」苛立ち、銀次の体を再び蹴り始める。
「ははぁ〜ん。さてはお前、弱すぎてアイツらから見放されたんだろ?あんなゴミどもからさえ見放されるなんて哀れだねぇ。」
「テメェはゴミの中のゴミってことか。ま、確かに弱ぇヤツが傍にいてもウザいだけだしな。結局、どこにいってもテメェはお荷物ってことだ。」
黒学の生徒全員が高笑いする。銀次は泣きたいのを必死に堪えていた。
蹴られた体は十分痛かったが、それ以上に心が苦しかった。
「そんなお荷物を引き取りに来るモノ好きも世の中にはいるんだよ。」
廃倉庫にはおよそ似つかわしくない凛とした声が響く。
「カヅ、っちゃん…?」
「僕の仲間をずいぶんと可愛がってくれたみたいだね。弱い弱いと言いながらその弱いヤツ相手に7人がかりなお前らを僕は何て呼んだらいいのかな?
あぁ、ゴミの中のゴミの中のゴミ、とか?」
「テメェ…生きて帰れると思うなよ?」花月に近づいていく。
「僕の台詞、盗らないでくれるかな…?」
次の瞬間、花月は一番近くにいた黒学の生徒に固く握りしめた拳を宣戦布告とばかりにおみまいした。
「俺はテメェらみたいに集団で一人をボコるっつう汚いやり方が大っ嫌いなんだよ。弱い者いじめがそんなに楽しいか?このチキン野郎どもっ!!!」
「言わせておけば、このオカマ野郎…。やっちまえっ!」
先程倒れた1人を除く6人が一斉に花月に向かっていく。
花月は慣れた手つきで自分に向かってくる拳や蹴りをかわし、代わりに相手の腹や背中などに確実に自分の攻撃をヒットさせていた。瞬く間に5人が倒れる。
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