創作場(花朔)

□女神と堕天使・4〜闇さえ包む君の腕〜
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「朔羅ちゃん、心配なのは分かるけど、自分の体も少しはいたわってあげないとダメよ?」ヘヴンが二人分のコーヒーを持って朔羅のそばに近寄る。
「有難うございます…。でも、やっぱり…、これは半分以上、わたしのせいですし…」渡されたコーヒーを見ながら静かに答える。
あのグループにヒビを入れたのは自分だと強く思う。自分さえ現れなければこんなことにはならなかったのかもしれない。
はぁっ、とため息をついて何気なく窓の外を見る。それは本当に偶然だった。その身一つで風のごとく走っていく彼の姿が目に飛び込んできた。
“風鳥院君…?”そう思ったとき、朔羅の体は勝手に動いていた。
「ヘヴン先生、今日のわたしの授業、全て自習にして、先生が監督をなさってくれませんかっ?わたし、ちょっと行ってきますっ!!」
「えっ?朔羅ちゃん!?ちょ、ちょっとぉ!」
言うが早いか朔羅もその身一つで職員室を飛び出す。ヘヴンの声が遠くに聞こえた。


“アンのバカ、何捕まってンだよっ!”走りながら思う花月。
5日も学校を休んで、そろそろ行かないとまずいかなと思って今日は出てきた。教室の前まで行ってドアを開けようとしたら中が妙に騒がしい。
まぁたバカなことでも話してんだろーな、と思った。後で上げ足でもとってやろうか、と思いつつその話に耳を傾けた。
だが、その内容は自分が想像していたものよりもはるかに現実的で、何より、時間が勝負の話だった。そのまま中に入ってアイツら全員引き連れて喧嘩しに行くこともできた。
けど、相手は黒学だ。いくら数で勝っていたとしても、全員無事に帰って来れる保証などどこにもない。
むしろ、少数精鋭の相手に半数が半殺しにされる様子の方がリアルに思い浮かんだ。それなら、一人でいい。誰も、傷つかせなどしない。
もちろん、今から助けに行くバカも含めて。
「東町って言ってたよな…。黒学の連中が相手をボコるのに使う場所…。人目につかなくて、それなりの広さがある場所…。」考えを巡らせる花月に一つの場所が思い浮かぶ。
“東町のはずれの廃倉庫か!!”
目的地が定まったことで花月の足はさらに強く地面を蹴りだした。
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