『お誕生日、おめでとう!』 たくさんの祝福の言葉と共に、たくさんのプレゼントが私の近くに溜まっていく。 去年は家でやったから今年は盛大に祝おう!というマスターの案で、私の誕生会は思っていたよりずっと豪華なものになった。 カイト兄やめーちゃん達はもちろん、ファンの人まで集めた結果、参加人数は膨れ上がり。 貸し切った広い広い会場が人に溢れる程集まってくれたのだ。 やっぱり嬉しい。 祝ってくれる人が多いのは、幸せな証拠だ。 それに。 「へへへ。」 着慣れないサラサラとした素材のドレス。 周りの人も皆着飾っていて。 なんというか、なんだか。 大人の階段を登った気分! これでお酒を飲めば完璧に大人の女、とか思ったのだけれど、それはさすがにめーちゃんに止められてしまった。 全く、自分はあんなに酔っ払っちゃってるくせにね。 「あっあのっ!ミクちゃん!」 「ん?」 「これ、プレゼントです!あたし、本当にミクちゃんの大ファンで…」 ふいに名前を呼ばれ振り向くと、真っ赤な顔の女の子。手には可愛らしく包装された袋。 本日何十回目の光景なのに、やっぱり何だかどぎまぎしてしまう。 こ、こんなにたくさんプレゼント貰って良いのかな… 会場も飾り付けもマスター達がやってくれたし。私も何か用意した方が良かったのかも。 そう少し罪悪感を感じながらも、私を見るキラキラとした瞳に心がほわっと温かくなった。 「ありがとう。とっっても嬉しい!」 「っ!」 小さな頭を撫でながら笑いかけると、女の子は真っ赤な顔で目を見開いたまま固まってしまった。 ふふ、かわいい! ふるふると小さく奮えながら、彼女は私をジッと見つめる。 キラキラした、綺麗な瞳。 「あ、あたしっ!絶対大きくなったらミクちゃんみたいなアイドルになりたい!」 満面な笑顔でそう言われた。 胸の中からじんわりと何かが溢れて、思わず泣きそうになってしまう。 だめだめ、今は泣いちゃだめ。 心からの感謝を込めて、私は言った。 小さな未来の歌姫に。 「うん、待ってる!ありがとう!」 走り去ってく女の子に手を振りながら、ふうっと息をついて座り直す。 やばい。にやけがとまらない。 緩む頬を抑えていたら、後ろから肩を叩かれた。 振り向くと…ああっもう!ますますにやけてしまうじゃない! 「お誕生日おめでとうございます、ミクさん。」 |