かぷ

□きみの隣!
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「寝ちゃったか…」


俺の膝に頭を乗せてすやすやと眠る片割れ。
まだ少し濡れている頬をそっと手でぬぐってやると、小さく寝言を漏らす。
そんな様子を見てくすりと笑っていたら、近くで座っていたミクさんが立ち上がった。


「私、毛布とってくるね!」
「あ…ありがとうございます。」


笑顔でぱたぱたと駆けていくミクさんを見守ってから、またリンに目線を戻す。

リンが自分にベタベタしてくるのは、よくあること。
そりゃ双子だし、生まれた時から一緒だしね。

いつもは適当にあしらうんだけど。
ただ今日はかなりマスターに強く注意されたらしく、珍しく泣きながら自分にしがみついてきたから。
さすがに放っとけないのでよしよしとなだめていたら泣き疲れたようで、今に至る。

…大丈夫かなあ、こいつ。


「………。」
「ん?ああ、ミクさん。すいません、ありがとうございます。」


リンのサラサラとした髪を撫でながら視線を上げたら、ミクさんが毛布を抱えて立っていた。
何故かボーッと突っ立っている彼女に軽く頭を下げてお礼を言う。
すると、ミクさんは焦ったようにすぐに笑顔に戻った。
ん、どうしたんだ?疲れてるのかな。


「ミクさん、大丈夫ですか?」
「う、うんっ!大丈夫だよ!」
「よし…じゃあソファーに寝かせましょうか。このままじゃ俺が重いし。」
「う…ん。レンくん、一人で持てる?」
「はい、大丈夫です。」


そう言ってリンを持ち上げる。
少し恥ずかしいけど、体勢的にお姫様抱っこの方が楽だから、そこは仕方ない。
ひょいっとリンを抱えて立ち上がり、ソファに寝かせた。
うん、さすがリン。全く起きない。

…ん?


「ミクさん?どうしたんですか?」
「…なんでも、ない。」


やけに静かだなと思い顔を上げると、またミクさんがボーッとしていた。
ほんとに、今日は何だか様子がおかしい。
もしかしてミクさんもマスターに怒られたのだろうか。


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