「あれ?」 目が覚めると、家には私しかいなかった。 お兄ちゃんもグミヤも、部屋にいない。 あれ。仕事だっけ? いや、今日は空けといてくれたはず。 だって、今日は私の… 「ぐみちゃんお誕生日おめでとうー!」 「うわあっ!」 いきなり背中にかかった重みに心臓が飛び出しそうになる。 ばくばくと音を立てる胸を抑えながら振り向くと、見覚えのあるリボン頭。 どこから入ったのよあんたは! 「リンちゃん!びっくりしたあ。」 「えへへーおはよう、というかおそよう!ぐみちゃん!」 にこりと笑われて時計を見ると、もうお昼前。 思っていたよりずっと遅い時間に思わず苦笑をもらす。 だ、だって! 誕生日位寝ててもいいじゃん! 「うるさい、いいんだもん今日は休日だから!」 「はいはい。ほら用意して!」 口を尖らせて言った私の言葉をスルーして、リンちゃんは私の手をとった。 用意? その手に引っ張られ立たされた私の髪を整えて、リンちゃんは持っていた紙袋から何かを取り出す。 「……?」 「うんピッタリ!さすがルカちゃんの見立ては凄いなあ〜」 満足気なリンちゃんが私の前にかざすのは、白いワンピース。 え?何これ? まさか… 「ぐみちゃん!飛びっきり、オシャレしようねっ!」 「え、ちょ、私こんなの似合わな…」 「じゃあ私髪の毛巻く!」 「ミクちゃん!」 「じゃあ私はこっち」 「ルカさんまで!」 いつの間にか入ってきた二人はそれぞれヘアアイロンとメイク道具を持って笑っていた。 ほ、ほんとに勘弁して下さい… 逃げようとしたらルカさんに手を掴まれる。 にっこりと歪む口元は妖艶で。 思わず畏縮してしまう。 ああ、逃げられない。 結局私は3人にされるがままになった。 絶えず溢れる恥ずかしさに声にならない呻き声を上げる。 私、なんでこんなことしてるんだろう。 あはは、分からないや、あははは… (今日は誕生日なのに!) |