ミクちゃんは凄いの。 ほんと、ほんと凄いの。 「はあ…」 恍惚と感嘆の溜め息を漏らしながらヘッドホンを外す。 ああ、ミクちゃんの新曲、今回もすっごく素敵だった。 いきおいよく後ろを振り向いて片割れを見つめる。 待ってましたと言わんばかり彼も目を輝かせてこちらに飛びついてきた。 「聞いた?やばいだろやばいだろ!」 「やばい!もう、ほんっっとミクちゃん可愛い!」 「だ よ な !ああ俺もあんな風に歌えたらな…」 「ね!どうしてあんなに色んな声が出せるんだろう…」 二人でふう、とにやけながら息をつく。 ミクちゃんは、凄い。 可愛い曲も、激しい曲も、優しい曲も。 どんな雰囲気の曲だって、それに合わせた声で歌ってみせるのだ。 ああ、もう、ほんと。 「ミクちゃんって凄い…」 呟くように言うと、隣でレンも大きく頷く。 よし、明日早速ミクちゃんちに行って感想言おうっと! わくわくしながらリボンを揺らす。 「レン!明日ミクちゃんち行こうよ!」 「うわああ行きてええ!でも明日は試合の助っ人。」 さぼろうかなーと本気で悩むレンにくすりと笑いながら、頑張ってね!と応援する。 レンは運動もできるから。部活の試合の助っ人も良く頼まれるのだ。 自慢の、自慢の弟。 私も応援に行きたいけど、明日はミクちゃんちに行こう。 興奮も冷めない内に! にやけながらまた再生ボタンを押す。 レンもパソコンに飛びついてきたので、今度はスピーカーで。 すぐに立つ鳥肌。 ああ、やっぱりミクちゃんは凄い! |