マスターにレンと隔離されて3日が経った。 心に募るのは安堵でも何でもなく、焦りと焦燥感。 どうして? あんなに痛かったのに。あんなに怖かったのに。 「…レン」 3日。 たった3日が長く感じて、私は何かに追い立てられるように彼の部屋へと走った。 もちろんマスターには秘密で。 息を潜めて扉に立つと、向こうにレンがいるのが分かる。 物音一つしないのに、分かるんだ。 そのまま何も言わずに扉にもたれかかると心の中のもやもやがすっと楽になる。 あんなに怖かったのに、自分でも驚く程心は静かだった。 「リン?」 扉の向こうから小さく声がする。 その声を聞いただけで今すぐ鍵を開けてしまいたくなった。 もうレンは、リンの大好きなレンじゃないのに。 「リン?いるの?」 静かなその声には寂しさが混ざっているようで。 ダメだと分かっていながらも口が勝手に動いた。 「…レ、ン」 呟きと共にあちらからガタガタと物音がして、扉にもたれかかったような衝撃が軽く背中に響く。 あはは、久しぶりに背中合わせだ。 リン、怖いの嫌なのに。 リン、痛いの嫌いなのに。 熱を感じない背中合わせの感覚に泣きそうな位懐かしい気持ちになった。 そうだよ。 だって、リン、レンのこと大好きだもん。 レンが怖いなんて、あるはずないじゃない。 「ごめんね。リン、馬鹿だったね」 「いいよ、許してあげる」 優しい優しいレンの声に笑みがこぼれる。 良かった、リンのこと、許してくれるんだ。 心から満たされた気持ちで振り返り私はドアノブに手をかけた。 その時。 |