かぷ

□言わない気持ち
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「ふふふ〜ん♪」


今日はバレンタイン。

町中に溢れる甘い香りに思わず顔をにやけさせて、リボンをゆらしながらスキップして家に向かう。

バックの中には大量に貰った(主に女子からの)チョコ。
きっとどれも美味しいんだろうなあ!


「どれから食べよっかなー!」


上機嫌になりながら家のドアを勢いよく開けた。


「ただーいまー!」


声はかえってこない。

そういえば今日はお母さんもお父さんも出掛けるって言ってたっけ…
レンは歌のお仕事。


「まぁいいや!一人で全部食べよっ!!」


うふふ。
カバンを部屋に投げ捨ててリビングへ向かった。


「おかえりー」
「へ!?」


聞きなれた声がリビングに響く。
一瞬びっくりしたけど、すぐに誰か分かって呆れたようにつぶやいた。


「何やってんのクオ兄…」


リビングではクオ兄が堂々とくつろいでいた。


「何って…デカリボンさんのチョコでもあやかろうと思って。どうせいっぱい貰ったんだろ?」


というかどこから入ったんだお前は。


「デカリボンって言うな!まぁ結構貰ったけど…ってクオ兄貰ってないの!?」


ルックスもそこそこ良いクオ兄。
去年も大量のチョコを迷惑そうに持っていたのを覚えている。

あまりに迷惑そうだったから、私のチョコは渡せずにミクちゃんへと渡った。
まぁ別に義理だからどうでも良かったんだけど。


「今日学校なかったんだよ。」「じゃぁ明日貰えるんじゃないの。」


どうせいっぱい貰えるんだろ!


可愛くないとは分かっていながらもつい口がとがってしまう。


「これはリンのだもん!あげないー!」
「お前こんな食べたら太るだr「黙れ」
「去年だってあんなに迷惑そうにしてたんだから、いらないでしょー」


頬をふくらませて必死にチョコを守る。
いや違う、別に他の奴のだからとかじゃなくて、ただこれはリンが貰ったチョコだから!


「そんなに嫌?」
「嫌。」


(クオ兄ってそんなにチョコ好きだったっけ?)


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