アンコール、アンコール! 私達の歌を求める、拍手と幸せな音の波。 それに笑いながら手を降って、ひとまず私は舞台袖へと走った。 「お疲れ様です、ミクさん。」 タオルを持って私を迎えるレンくんに勢い良く抱きつくと、彼は少しよろけてながらも、ぎゅっと抱きしめ返してくれる。 肩に顔をうずめればレンくんの匂いがして、あったかくて。 溢れてくる安心感に、心が満たされていく。 レンくんの顔をジッと見つめるとレンくんがふにゃりと表情を崩して笑ったので、えへへと私も笑った。 ルカさんやめーちゃん達もぱたぱたと舞台袖に集まっていく。 「ミクちゃん、行こう!」 リンちゃんがそう言って、ステージへ駆け出して行った。 歓声が沸き上がると同時に、皆の後を追おうと歩き出すレンくんの手をぎゅっと掴む。 「ミクさん?行きましょう?」 「うんっ!その前に、」 充電。 歌うのが楽しみで仕方がないのか、可愛らしい笑顔を作るレンくんの唇にちゅっと口づけた。 自分からしても、やっぱり何だか、にやけちゃう。 「…っ!ミ、クさん!」 「へへ!これでアンコールも頑張れるよー!」 「だ、誰かが見てたらどうす…」 「そしたらステージで婚約発表でもする?」 にっこりと笑ったら、馬鹿言わないで下さい、なんて真っ赤な顔で怒られてしまった。 ふふ、可愛いなあレンくんは! 「ちょっとレン!ミク!早く!」 「わああごめん!今行く!」 ステージから呼ばれて、二人して慌てて飛び出して行く。 舞台袖ギリギリで、名残惜しそうに手を離す瞬間レンくんが言った言葉を、私はまだ知らない。 「そういう台詞は、ソロライブできる位有名になってミクさんの隣に並べるようになったら、俺から言います。」 |