かぷ

□ららら、
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「あー、あー。…よしっこんな感じかな。」
「ちょっとレン、まだちょっと鼻声だよ!」
「うるさいなあ!リンだって結局まだサ行上手く喋れてないだろ!」
「い、良いもんご愛嬌だもん!」


二人でぎゃあぎゃあと言い合いをしながら、最後にはお互いの服を掴んで取っ組み合い。
狭い箱の中にバタバタとうるさい音が響く。
しかし近づいてきた足音に、二人してピタリと動きを止めた。

心臓が、少しだけ早くなる。

リンも少し不安げな表情で、俺の耳元に顔を寄せた。


(いよいよだね、)
(ああ、いよいよだ。)
(リン達、ちゃんと愛して貰えるかな)
(大丈夫さ!二人一緒なら。)
(…そうだね、二人ならきっと無敵!)


こしょこしょと小さな声で話しながら固く手を結び、目配せをしてタイミングを図る。

段々大きくなる足音が止まった瞬間。
今だ!


「うわあ!」


せーのっで箱から飛び出せば、目の前には驚いた顔をしている、僕らのマスター。
握った手に力をぎゅっと込めて、練習した通りに二人で笑った。


「「初めまして、マスター!」」


俺は鼻のつまった声、リンなんか"初めまちて"になってる。
でも、たどたどしい喋り方だけど、何とか聞き取れたはず。

長い練習のかいがあったか、俺らの言葉を聞いたマスターはすぐに笑い返してくれた。

思わずホッと息をついて、俺とリンも笑った。

これから、二人の活動が始まる。
いっぱい歌うから。
初音ミクにも、人にだって負けない位、あなたの歌を歌うから。

たくさん歌って、愛されて、もしも誰かの心に残れたら。

凄く、凄く、嬉しいなあ。




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