気が付けば朝からずっと家にいなかった彼女がやっと帰って来た。 しかも何故かぼろぼろで。 綺麗に結われた浅葱色の流れるような髪はぼさぼさでいつも笑顔を浮かべている可愛らしい表情は何処となくげんなりしているように見える。 「レン君、ただいまあ」 彼女独特の少し語尾を延ばした帰宅の挨拶に可愛いなあと頬を緩める暇もなく俺は彼女に駆け寄った。 ふらふらの彼女を慌てて両手を使って支える。 う、やっぱりまだ身長越せてない。 「どうしたのミク姉、そんなにぼろぼろになって」 そう言いながら彼女の服の乱れを直してあげる。 よく見るとスカートが捲くれて細くて白い太ももがかなり際どい所までむき出しになっていた。 一瞬で顔に熱が集まるのがわかったので急いで捲れたそれをべちり叩いて元のあるべき状態に戻す。 驚いたミク姉がうひゃあと声を上げて少し申し訳ない気持ちになった。 もしミク姉のパンツを運良く目撃してた奴がいたらたこ殴りにしてやる。 「あの、あのね?これ買ってたの」 叩かれた理由を先を急かそうとしたのだと勘違いしたのかミク姉は慌ててぐいと腕を突き出した。 白い箱。 小さな持ち手が付いたそれを彼女はとても誇らしげに差し出している。 今にもえへんと言う効果音が聞こえてきそうだ。 「なにそれ」 「見ればわかるよ!」 愛想の無い単語で返事をした途端待ってましたとばかりに箱を乱暴に開けていく。 嗚呼そんなに乱暴にしたら壊れるって。 相変わらず適当で大雑把な彼女に半分呆れ半分惚気て溜息を吐いた。 「じゃん!どう?おいしそう?」 そんな溜息も付き終わらぬ間に彼女の笑顔が視界いっぱいに広がった。 一瞬何がおいしそうなのかさっぱりわからず少し身を引いたがすぐに彼女が示しているものに気付く。 女の子が好みそうな可愛らしいデザインのケーキだった。 「この前テレビでやっててね、一日限定20食なんだって!これ最後の一個だったんだよ」 にぱっと笑う彼女と差し出されたそれはとてもよく似合っていた。 ミク姉には可愛いものが良く似合う。 笑顔のときはなおさらだ。 「そうなんだ、よかったね」 思わず自分も苦笑して口を開けば逆にミク姉の笑顔は引っ込んでしまった。 唇をついと突き出してきょとんとした様な顔をしている。 そして可愛らしく小首を傾げると静かにこう言った。 「これはレン君のだよ?」 「え?」 間抜けな相槌しか打てない。 自分で食べれるから嬉しくてこうもテンションが高いのだと思っていた。 「本当はリンちゃんの分もって思ったんだけど買えなかったから秘密にしてね」 そう言うと嬉しそうにぼろぼろになった箱を差し出してきた。 唖然としてされるがまま俺は箱を受け取る。 ふふふとミク姉の零れる笑い声が響く。 「私が一生懸命になるのはレン君とリンちゃんのためだけだよ」 これは一体どういう意味なのだろうか。 リンも対象に入っているということは可愛い弟と妹として? そうだとしたらいたたまれないけれど。 嬉しくてでも少しだけ照れ臭くて俺はありがとうの一言が上手く言えなかったけどぼそぼそと呟いた掠れた言葉の中からミク姉は感謝の意を読み取ってくれたみたいで本日何度目かわからない笑顔を浮かべた。 やっぱり何度見ても可愛くて綺麗な笑顔だった。 愛しくなったら終わりだよ 華様に捧げます一周年フリリクで甘めのレンミクです 何か糖度低いしレン←ミクっぽくなってしまいました/(^o^)\ ですが久しぶりのレンミク楽しかったです やっぱりレンミク書きやすい…! では華様素敵なリクエスト有難うございました! お題 にやり様 *** 涙無さんから頂いたレンミク! ミクちゃんがもう素敵すぎて…!こんなお姉ちゃん欲しいです。 二人とも可愛いすぎますね。 ありがとうございました! |