「ねえ、馬鹿だね人間は」 呟いた彼を火照る体で見つめる。 嘲笑うかのような、口先だけの笑み。 「僕ら機械なんだから。顔が整ってるのだって当たり前だし」 愛情なんて知らないのに、 ああ君はそう言ってたっけな。 彼はそのまままた私を抱きしめた。 温かいのは、私の熱? 「れ、んくん…」 「馬鹿だね、ほんと」 分かってる。躍らされてる。 機械の彼は愛情なんてない、ただ快楽が欲しいだけ。 私はそんな彼の体温が欲しくて、愛しくて。 結局彼と体を重ねる。 「レンくんは…愛情が分からないままで、良いの?」 「その方が楽でしょ。恋って辛いらしいし」 無邪気な瞳で言う君は残酷だ。 だってもう、私恋してるのよ? そんなの君は知らないのだ。どうでもいいのだ。 残酷な王子様。 最悪な、最悪な王子様。 なのに。 「さ、そろそろ帰ろうか。名無し子。」 名前を呼ばれる度に私の心臓はまた熱を発して。 彼は本当に機械なのかな、なんて何百回目の思いをそっと胸にしまった。 「れんくん、れんくん、」 「うんまた会おうね」 そう言って適当に笑う君を軽く睨みつける。 嘘ばっかりの言葉。 次はいつ会えるのかな。 「……れんくん。」 「…っ!」 たまらなくなった私は君を引き寄せて首に強く吸い付いた。 たまには私だってマークを付けてやる。 「絶対、私の所に帰ってきて」 「…ふふ、分かった。」 妖艶に微笑む君の真意は見えない。 でも良いんだ。馬鹿だって良い。機械だって良い。 逃げても絶対に、捕まってあげるから。捕まえてあげるから。 私はレンくんのもので、レンくんは私の所有"物"だ。 (人間ってほんと馬鹿ばっか) (だからこそ、飽きないよ) |