□SPICE!
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「ねえ、馬鹿だね人間は」


呟いた彼を火照る体で見つめる。
嘲笑うかのような、口先だけの笑み。


「僕ら機械なんだから。顔が整ってるのだって当たり前だし」


愛情なんて知らないのに、
ああ君はそう言ってたっけな。
彼はそのまままた私を抱きしめた。
温かいのは、私の熱?


「れ、んくん…」
「馬鹿だね、ほんと」


分かってる。躍らされてる。
機械の彼は愛情なんてない、ただ快楽が欲しいだけ。
私はそんな彼の体温が欲しくて、愛しくて。
結局彼と体を重ねる。


「レンくんは…愛情が分からないままで、良いの?」
「その方が楽でしょ。恋って辛いらしいし」


無邪気な瞳で言う君は残酷だ。
だってもう、私恋してるのよ?

そんなの君は知らないのだ。どうでもいいのだ。
残酷な王子様。
最悪な、最悪な王子様。

なのに。


「さ、そろそろ帰ろうか。名無し子。」


名前を呼ばれる度に私の心臓はまた熱を発して。
彼は本当に機械なのかな、なんて何百回目の思いをそっと胸にしまった。


「れんくん、れんくん、」
「うんまた会おうね」


そう言って適当に笑う君を軽く睨みつける。
嘘ばっかりの言葉。
次はいつ会えるのかな。


「……れんくん。」
「…っ!」


たまらなくなった私は君を引き寄せて首に強く吸い付いた。
たまには私だってマークを付けてやる。


「絶対、私の所に帰ってきて」
「…ふふ、分かった。」


妖艶に微笑む君の真意は見えない。
でも良いんだ。馬鹿だって良い。機械だって良い。
逃げても絶対に、捕まってあげるから。捕まえてあげるから。
私はレンくんのもので、レンくんは私の所有"物"だ。



(人間ってほんと馬鹿ばっか)
(だからこそ、飽きないよ)


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