ショート

希望に満ち溢れた絶望
5ページ/6ページ


石丸 「…なんてな。はは、気にしないでくれたまえ。……いや、そもそも、君が僕の事など気に留めるはずもない、か…」

江ノ島「……ま…ない……」

石丸 「……は?」

江ノ島「たまんないッ!! たまんないわッ!! …はあぁぁぁんッ!! 一富士二鷹三絶望! 新年早々、なんておめでたいのかしら!!」

石丸 「一富士二鷹、三絶望…? 何だそれは。全然おめでたくないぞ…」

江ノ島「何でよ!? めでたいに決まってんじゃん!? …だって今、アタシは目の前で大好きな人を絶望させて、そしてアタシの大好きな人もまた同じように絶望してんのよ? これがめでたくない訳がないでしょ!? まさに葬式と戦争が一緒に来たような気分よ!」

石丸 「君、そんな不謹慎な喩えはやめたまえ! ……え…? と、言うか江ノ島くん。今、何て…?」

江ノ島「うっひょひょッ、テンション上がってきたぁ! …ヤバい、こうしちゃいられないわッ!」

石丸 「お…、おい! 一体どこに行くつもりだ!?」

江ノ島「そんなん決まってんでしょ? アタシのこのカラダから溢れんばかりの愛と勇気と絶望を皆に伝えに行くのよ。…まずは手始めに、残念なお姉ちゃんから絶望させるとしますか!」

石丸 「君というヤツは…! 前々から思っていたが、実の姉君にはもっと尊敬の意を示したまえ! そんなぞんざいな扱いでは、戦刃くんがあまりにも不憫だ! 残念過ぎるだろう!!」

江ノ島「…ほらー。アンタだって今お姉ちゃんの事、『残念』って言ったじゃーん」

石丸 「…あ! い、いや、そういう訳ではなくてだな…! …ぼ、僕が言いたいのはつまり、さっき君は僕の事を『アタシの大好きな人』と言ったのではないか? というのを再確認したいのであって…」

江ノ島「さあ、こうしちゃいられないわ。…早くみんなに光り輝く絶望を分けに行かなくっちゃ! レッツ絶望ぅぅぅ─────ッ!!」

石丸 「ああッ! ま、待て江ノ島くん!! 意味の分からない事ばかり言ってないで、僕の質問に答えたまええぇぇ──────ッ!!」















→あとがき


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ