ロング

それは、おとぎ話のような
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「こ、ここが…ノヴォセリック宮殿…!」
「そのようじゃな」
「す、すごいですね! …このような言い方は失礼かもしれませんが、日本の『こっかいぎじどう』の数十倍は大きいのではないかと…!」
「はははは。確かに、議事堂とは比べ物にならんデカさじゃのう」


ノヴォセリック国に着いた後祖父に連れて来られたのは、王族達が居を構えるノヴォセリック宮殿。
予想を遥かに上回る宮殿の大きさと広大な敷地に僕は圧倒され、思わず息を呑んだ。

外見的にはイギリスのバッキンガム宮殿を想像してもらえると分かりやすいだろうか。
ノヴォセリック自体はさほど大きくない国ではあるが、この国の民はこれほどまでに大規模な建物を築き上げられる技術を持っているのか──その事に僕はこの上ない感激と興奮を覚え、一気にこの国へ興味を抱いたのだった。


「さあ。中に入るぞ、清多夏。国王がお待ちかねじゃろうからな」
「は…、はいっ!!」


その瞬間。
極度の緊張感、好奇心、未知なるモノへの探求──様々な感情が僕の中で目まぐるしい速さで駆け巡る。
そしてそれは汗という形で全身からドバッと勢い良く噴き出し、僕の額や頬を幾度も伝い落ちていく。
その感触がやけに生暖かくて、幼いながらも奇妙な気持ちになった事を憶えている。

こうして僕は祖父と共に、未知の国の宮殿へと足を踏み入れた。
──が、その中では更なる驚きの事態と出来事が、僕を密かに待ち構えているのだった。


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