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罪と罰
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『陰陽五行説』──という、古くから中国に伝わる思想がある。


この考えによると、全てのものは陰と陽に分かれており、それらは互いに均衡を保ち調和し合いながらこの世に存在しているのだという。


例えば太陽と月、光と影、昼と夜。
『喜び』と『怒り』、『好き』と『嫌い』。


──そして、『希望』と『絶望』。


すべては表裏一体であり、それらは密接な繋がりを持っている。
引き離す事など不可能だ。



…だが、今。
この概念を撃ち壊し、覆そうとしている者がいる。

それが我ら──『超高級級の絶望』だ。



この世界には『希望』が絶える事なく蔓延している。
そしてそれは、いつ終わるとも知れない迷走を続け……世界は『希望』に汚染され続ける。

この世に不完全な『希望』など、必要無いのだ。
だからこそ、我々はそういった『希望』を排除せねばならない。


この世界に必要なのは、求められているのは、ただ一つ。

──安らかで完全なる、『絶望』のみなのだ。


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