夢幻なる縁

□3章 四神の作り方
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 博士と萬とのやりとり見てからと言う物の博士と会うどころか目にすることもなくなり、今まで感じたことがない寂しさと切なさが押し寄せて何もしないことが怖くなっている。
 記憶をなくしていた時ならそれが普通でむしろ会えない方が良かったんだけれど、今はすぐにもでも会いたいし声も聞きたい。

 これが恋って言う物。

 未来では同じ家で四六時中顔を合わせたから、会えない辛さなんて考えたことなんてなかった。
 その辺は恵まれていたんだと思う。
 会えなかったら会いに行けばいいんだけれど、用事がなくて行くのは博士にしてみればいい迷惑かも知れない。
 それともロンドには好きになるように書かれていたから、案外来るのを待っているとか?
 でもそれっておもちゃにするのが目的なんだよね?
 何されるか分からないし、それは身の破滅になるから辞めといた方が無難である。
 となるとそれなりの用事を作らないといけないんだけれど、なかなかいい案が思い付かず今日もきっと会えないで終わるのだろう。




「コスモ、お散歩にいくよ」
「ワンワン」

 このままではウジ虫がわきそうで気分転換に最近日課になりつつあるコスモの早朝散歩することにした。
 私の言葉が分かるのかそう声を掛けると、コスモは嬉しそうにリードをくわえ扉の前でちょこんと座り尻尾をふり待つ。
 その姿がとにかく愛らしくてどんなに落ち込んでいても笑顔にがこぼれギュッと締め頰ずりをしてしまう。
 コスモが私の元にやって来てまだそんなに経っていないと言うのに、今の私にはなくてはならない最高のパートナーだ。




「帆波、おはよう。コスモの散歩?」
「千代、おはよう。うん、千代も良かったら一緒に行く?」
「え、良いの? なら用意するからちょっと待っててね」
「了解。リビングで待ってる」

 玄関に向かう途中千代と出会いなんとなく誘ってほしそうな雰囲気だったので何気なく誘うと、最強の明るい笑顔を浮かべ嬉しそうに言い自分の部屋に戻っていく。

 最近研究でいっぱいいっぱいになっていてあんまり話せてないから、散歩しながらちゃんと話し合おうと思う。
 どうも最近の千代は汚れの浄化が原因なのか体調が優れないのにも関わらず、薄化粧でごまかしてる辺りどうやら仲間には隠しているらしい。
 その辺白龍の神子らしい。

 そう思いながらリビングに行くと、おじいちゃんと萬が新聞を読んでいた。

 こっちも相変わらず。

「おじいちゃん、萬、おはよう」
「おはよう。これからコスモの散歩?」
「シスター、おはようございます」
「そう。千代待ち。ねぇおじいちゃん。最近の軍の動きってどんな感じ?」

 いつもの朝の挨拶をして、早速情報収集開始。
 先進国梓の世界の日本なら情報は新聞とネットで充分だけれど、まだまだ軍事国家が強い帝都は軍にとって不都合な情報なんて握りつぶされるだけ。
 そりゃぁ記者は頑張ってはいるとは思うけれど、信憑性がどうしても欠ける。
 その点おじいちゃんの情報は確かで最新だ。

「あんまり思わしくないね? どうも軍はまた実権の握りたいらしく、何かいい口実を模索しているようだ。まったくどうして人間は話し合うことができないんだろうね? 立派な頭脳と言葉を持っていると言うのに情けない」
「そうだね? みんながおじいちゃんと同じ考えだったら、世の中平和なんだろうね」

 ため息混じりで沈んだ口調で答えと愚痴を溢される。

 おじいちゃんの考えはごもっともで私もそうは思うけれど、愚かであることもまた人間。
 未来でも龍神がいるから大丈夫とか本気で思っている奴等ばっかだったと、おじいちゃんに言ったら幻滅されるのかな?

「人間は馬鹿だから一度こてんぱにやられないとダメなんですよ」
「だからそう言う狂暴な考えはやめなさいといつも言ってるでしょ? 単なる喧嘩だけならまだしも、戦争は多くの人が死ぬんだよ」
「そそうですよね? すみません」

 そこへおばあちゃんがやって来て自分の考えを胸を張って言うけれど、おじいちゃんに冷たく突っ込まれ何かを察したのか慌てて言い直す。

雲行きが怪しくなる。

「帆波、準備出来たから出かけましょう?」
「千代、グッドタイミング。さぁお散歩しに行こう」
「ワンワン」

そこへ天の助けか支度を終えた千代が呼びに来てくれたので、私はコスモを抱き上げ千代の手を握り逃げるようにリビングを飛び出す。


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