夢幻なる縁
□2章 偽りの婚約者
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過去に戻って、運命を変えて
「……夢?」
目が覚めると研究室の机で寝ていた。
どうやら寝落ちしたらしい。
幸い梓は私の部屋で寝てもらった記憶があるから良かったけれど、こんなところで寝かして更に八葉にバレたら怖いものがある。
梓を起こしに…時計を見るとまだ五時過ぎだから、もう少ししてから行くか。
それにしてもおかしな夢だった。
私は何かに呼ばれた気がして行くことを禁じられていた場所を彷徨い空から何かが堕ちてきたと思えば、一瞬で光り輝き辺りは火の海。
前に見た戦争物以上。
私はそれを空から眺めていて、涙を流していた。
そこに紙切れが落ちてきて、そこには
過去に戻って、運命を変えて
って意味深なことが書いていて、私は愛する人のために決意を固め。
そこで夢は終わり、何を決意したのかは不明。
ただの夢にしてはずいぶん現実感があるけれど、………まさか久しぶりの予知夢?
父方の遠い祖…藤原財閥の創設者が星の一族だったらしく、何代かに一人予知夢を見てしまう子が生まれる。
それから星だが五行を読むのが得意なのは長男限定の能力だから、藤原財閥はここまで大きくなれたんだと思う。
こんな事実を星の一族の直系に知られたら大目玉を喰らいそうだけど、藤原財閥の家系が星の一族なんて誰も知らない。
だとしたらお父さんか………あの景色はどう考えても帝都ではない。
だったら梓の世界の未来。
………………。
………………。
そのうち四神達に相談してみるか。
少しだけ大人になった私と言うことはおそらく未来である事は確かだから、そんなに急ぐことではなくゆっくりと慎重に解決策を考えられる。
そう結論付けた私は今も懸命に起動中スーパーコンピューターを見ると、ようやくロンドの解析か半分終わってデータ化されている。
しかしその分析結果は奇妙な元素の配列をしていて、解明するのにさらなる時間がかかりそう。
これだけ調べていて良いのなら喜んで研究室に籠っていられるけれど、残念ながらこれは世界の危機とはまったく関係ない。
今は神子としての役目が先決。
「詳しく調べるのは、今夜からか」
ちょっと残念に思いつつも、研究室を後にした。
「おじいちゃん、おはよう」
「おはよう。帆波」
リビングにはすでにおじいちゃんがいつも通り新聞を読んでいて、私が挨拶をすると視線を向けられ微笑みながら返される。
「おばあちゃんはまだ寝てるの?」
「いいや。駒野くんの様子を見に行ってる」
「おばあちゃんと千代が?」
おばあちゃんと千代と言う珍しい組み合わせに興味をそそられ、千代のことも気になるため様子を見に行くことにした。