夢幻なる縁
□2章 偽りの婚約者
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周囲の注目の的になりそうになった私達は一先ず我が家に避難した。
そして私はちょっと用事があると言って研究室へ。
さっき立てた仮説の答え合わせと、何かしら知ってるだろう四神達に聞くため。
「四神、正直に答えて。私は今まで2144年にいたの? 」
四神達相手だから前置きをすっ飛ばし、単刀直入に問い出さず。
すると四神達は人間の姿に変化し、揃って難しい表情で何かを確認しあって私を見る。
「それは私達にも分かりません。ただ黒龍の神子が召喚されてあなたが戻ってきた4ヶ月の間、あなたは別の時空に飛ばされていたのは事実です。私達が見つけた時は、あなたは気を失っていて結晶がありました。これです」
求めていた答えではなかったけれど新情報を朱雀は教えてくれ、キラキラ光る結晶の破片を差し出され受け取った瞬間消えてなくなる。
「萬に感情を教えたらいけないと何度言えば分かるの? 私達離れていったら、どう責任をとってくれる?」
「何度言っても分かりません。それに萬は心優しい子なので、離れていきません。そりゃぁ好きな子が出来て一緒になりたいと言うかもしれませんが」
「は、萬は自働人形だよ。恋愛感情なんてますますいらない。相手だって迷惑」
「博士は相変わらず頭が固いですよね? 萬のボディーは自働人形でも心は私達と同じなんですよ? それにもし萬が私を好きになってくれても、迷惑だとは思いません」
「!! ひょっとして君は萬が好きなの? だったら僕を残して二人だけで生きていけばいいじゃない?」
萬の事でいつものように博士と激しい口論となってしまい、頭に血が上った私は迂闊なことを言って博士を怒らしてしまった。
怒っていても瞳の奥は淋しそうに怯えている。
人一倍弱くって一人にさせるのは危険だから私だけでも傍にいようと決めたのに、なんでそんなことを言ってしまったんだろうか?
確かに私は萬が好きだし好きだって言われたら嬉しいけれど、それは恋愛感情ではなく家族愛と言うか母性愛。
私の好きな人は萬じゃなくって・・・・・・。
「帆波、どうかした?」
「え? あごめん。なんか記憶にない映像が流れてきて」
シロちゃんの声で我に変える。
見に覚えのない研究室で白衣を着た顔がわからない男性と、萬の事で口論していて傷付いた。
男性のことを私は博士と呼んでいたけれど、残念ながら誰なのか分からない。
ただ私は博士の事が好きなんだと思う。
「だとしたらあの結晶は帆波の失われた記憶の一部だな」
「そうか。だったら私はやっぱり梓がいる時空とは違う未来に行ってたんだ」
「驚かないんだな」
「最近こういうことが良くあるからね? なんかそこでの私には好きな人がいたらしいよ」
『!?』
四神達のおかげで最近感じていた違和感に説明が付き気が緩み余計なことを話してしまうと、一瞬で彼らから恐ろしい邪気が駄々もれ重い空気に変わってしまった。
それはおじいちゃんと同じもので関わることが怖くなり、ロンドの分析結果を確認する。
しかし七割調べた所で力尽きたようで、残りはerrorとなってしまった。
分析結果はパッと見チンプンカンプンではあるけれど、不思議なことに良く見れば分かる気がする。
それはやっぱり未来で科学者の助手をしていたからであって、自分が思っている以上に 知識がありそうだ。
だとしたらもっと記憶を取り戻したい。
「どうやったら早く記憶を取り戻せるんだろう? 記憶の結晶を集めれば良いのかな?」
「帆波の記憶の結晶は我らに任せてくれないか?」
「え……」
つい声を出して自問自答し考えてると、必要以上に張り切るシロちゃんからの申し出は嫌な予感しかない。
他の三神も同じだった。