夢幻なる縁
□1章 二代目四神の神子
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最悪すぎるファーストキスだったはずなのに、なぜかほんの少し心の奥が暖かくなりキスは優しい味かした。
それに抱きしめられた時だって心地好かったから、引き離さずに身を任してしまったのは事実。
やっぱり私は前に尚哉さんとどこかで出会っていて、その時何かがあったのかも知れない。
…………。
んな恋愛小説のような展開があるはずないか。
尚哉さんはチャラくて女好きだから、私が拒否しなかったからキスをしただけ。
そう言うタイプはキスなんて軽いものだから、少しでも相手を気に入ればするんだろう。
尚哉さんの言う通り無防備になっていた私にも多少非があった。
だから私も蚊に刺されたぐらいに思って、早いとこ忘れよう。
「あれ、また胸が痛い……」
無理矢理そう結論付けたら急に胸に痛みを感じ、余計気分が沈む。
尚哉さんには私以外の人とはキスして欲しくない。
私だけを見て欲しい。
ありえない感情が生まれてしまう。
なんでそう思うのかまったくわからない。
…………。
『みんな、人の姿になって私と遊ばない?』
『待ってました』
このままではおかしな感情に押し潰されて気が滅入りそうだから、四神達を指名して復興祭を思いっきり楽しむことにした。
昔からそう言う落ち込んだ時は、四神達と遊ぶことにしている。
四神達は誰もいないことを確認しながら、人の姿で現れてくれる。
青龍は威厳がありそうな俺様。背が四神の中で一番高いかな?
朱雀は女性のように花があって美しい。でもやっぱり男性なんだよね?
白虎は大人の色気がたっぷりあって、口説き率が倍増する。おじいちゃんは一番警戒してるらしい。
玄武は瞳が大きく愛らしい萌え少年。特に幼児バージョンは神だけど天使。
外を歩けば言うまでもなく女性達の注目の的になるけれど、今まで一度も嫉妬の目で見られたことないのは私を知ってるからだろうか?。
「じゃんけんぽい」
いつものように最初にじゃんけんで本日の歩く場所決めで、今日は青龍と朱雀が勝って私の隣となった。
神様がじゃんけんをするなんて、いつ見ても面白い。
「所で帆波。藤堂尚哉を我らで呪い殺そうか?」
「はい?」
和やかだった空気が、一瞬で殺伐とした空気に変わる。
「あいつにはこの世で一番酷い死を贈ってやらないと気がすまない」
「そうですね? 彼氏でもないのに帆波の唇を奪うなんて論外です」
やっぱり一部始終を見られていたらしく、朱雀さえもカンカンで祟る気満々だ。
神様なのにそんな怨霊みたく呪い殺して良いの?
「いっそう末代まで呪うのはどうだろう?」
「ストッープ。そんなことしたら絶対にダメからね。石に躓かせたり、バナナの皮を踏んで滑らせるぐらいならまだしも……」
「帆波がそれを望むなら、それにしよう」
いくらなんでも行き過ぎの天罰に決まりそうになる中ブレーキを掛けるけれど、言い方が悪かったらしくそう言うことでまとまってしまう。
でもまぁその程度なら、笑って済まされる程度だからいいよね?
「帆波、行きたい場所はありますか?」
「そうだな。そう言えば、梓からメール来てたっけぇ?」
朱雀から聞かれて考えると忘れかけていたことを思いだし、スマホを取り出しメールをチェック。
千代がメリーゴーランドに乗るから見に来ないかと言う内容だった。
送信時刻を見ると五十分前。
バッチリ今が集合時間だったりするけれど、まだ間に合うレベル……だと思いたい。
今すぐ行くね。五〜十分ぐらいかな?
かすかな望みを託しつつ返信した。