夢幻なる縁
□1章 二代目四神の神子
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「着いたよ。ここなら帆波を満足させられると思うよ」
尚哉さんに連れられやって来たのは、今日の目玉でもある整備場だった。
そこには自動人形達と何やら色鮮やかな七色の液体が入った瓶が大量に入った箱が積まれている。
私この液体知っている。
……ロンド?
「ロンド……」
不意にある名前がパッと思い浮かび、その言葉を無意識に呟く。
すごく馴染みの言葉に聞こえるけれど、そんな名前まったく身に覚えがない。
楽曲の輪舞曲のこと?
な分けないか……。
だとしてもこの液体を見ただけで、なんでそんな名前が思い浮かんだんだろう?
でもそれが必然で……。
「……良く分かったね。そうこれはロンドと言う僕が任された製菓会社で開発した飲み物。特殊な製法で作らせたから、美容や疲労なんでも良く効くよ? 帆波にはこの特別に作らせたロンドをあげる」
そう尚哉さんはロンドについておおまかな説明してくれすべての色を重ね合わせ綺麗なロンドを私にくれたけれど、その説明は本能的に嘘だって分かり悲しくなり寂しくもなった。
ロンドはそう言う目的で作ったんじゃない。
もっと大切な何かを護ろうとして、研究を重ねてようやく完成させたもの。
使い方を一つ間違えればとんでもない兵器にもなってしまう。
そんな物をあなたは一体何に使うつもりなの?
………ってあれ?
何私考えてるんだ?
とんでもない兵器って何?
私知らないけれど、このロンドは警戒が必要。
「あ、ありがとうございます。後で味わって飲みます」
「ここで飲めばいいじゃない?」
「あまりにも綺麗だから勿体ないからしばらく飾っておこうかなと。それに今は自動人形に興味があって、近くに行っても良いですか?」
「もちろん。さわっても構わない」
飲まないことを不振がられるのは当然で、とっさにそれらしい嘘をつき許可をもらい自動人形に近づく。
数年前に横浜で見た自動人形がガラクタに見えてしまう程、より精密に作られていて肌なんか人間に近い。
触れても違和感はそれほどない。
「すごいですね?」
「今動かしてあげるよ」
「はい」
すっかり発明家の血が騒ぎ動く自動人形をワクワクで見ていると、尚哉さんはそう言ってスイッチをいれる。
「こんにちは。ロンドはいかがですか?」
「普通に不自然なくしゃべった?」
二足歩行でちゃんと歩きロボット独特のしゃべり方ではなくスムーズに私の目を見ながら話す。
予想以上の技術力に開いた口が塞がらない。
今までこの世界の技術力を見くびっていたけれど、実際は異世界の技術力より遥かに優れている?
これも陰陽術のおかげ?