夢幻なる絆
□2.高嶺の花
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「わぁ〜ん。よく寝た。・・・あれ?」
ぐっすり眠り気持ち良く目が覚め伸びをしながら起き上がると、そこは我が家じゃない和室でにはすすきを主張とした生け花が生けてある。
こんな展開以前にも、体験したことがあるような?
って言うか一体ここはどこ?
確か私は・・・
残業で疲れきってそのまま爆睡して
・・・あれ?
その後誰かに会ったような気がする。
誰だっけぇ?
一度爆睡すると夜中起こされても記憶に残らない私は、微かな記憶を頼りに思いだそうとする物のまったく思いだせず戸惑い首をかしげる。
「ニャ〜ゴ」
「え?猫ち・・・あ!!」
太ももにちょこんと座り甘えるように鳴く三毛猫に、私はようやく思い出し声を張り上げた。
三毛猫は驚き太ももから落ちる。
「あ、ごめん。あなたひょっとしてあの夢の仔猫ちゃん?」
「ニャ〜ン」
三毛猫を抱き上げ驚きを隠せず聞いて見れば、嬉しそうに鳴き私の手をなめ始める。
間違えなくあの夢の仔猫ちゃんだった。
しかもなんか、結構成長しているし。
「ってことは、私まだ夢の中?」
「相変わらず君はバカだね。そんなはずがないでしょう」
そう勝手に解釈をしてると障子が開き、こちらはあの時と変わらない帯刀さんがやって来た。
出会い頭から呆れてバカ呼ばわりするとは、彼も相変わらずって言うか誰がモデルなんだろう?
そりゃぁツンデレどS属性は好物だけれど、果して彼はその属性なのか?
「あ帯刀さん。でも私前気づいたら翌朝だったんですよ」
「翌朝ね。ならこの温もりも私自体も、すべて君の夢なんだ?」
「す、すみません、私が悪かったです」
夢発言が気に食わなかったらしく悪魔の笑みを浮かばせ、私に近づき頬に触れ耳元でそんなことをそっと囁く。
これがゲームなら紛れのないフラグなんだろうけれど、私には何よりも怖くて真っ青になり謝罪をしながら後退する。
確かにこの感触も猫ちゃんの温もりも、紛れもない現実だ。
でも・・・。
「分かればいいんだよ。じゃぁ女中達を呼ぶから、あれに着替えて」
「え、あれにですか?」
まだ少し混乱していると帯刀さんに話題を変えられ、綺麗な蝶模様の品の良い着物を指差される。
見るからに高価そうで、大河ドラマに出て来るお姫様が着ていそう。
こんな着物の、私に似合うのかな?
「そう。これから良いとこに連れて行ってあげるから」
と意味深なことを愉快そうに言って、帯刀さんは部屋からさっさと出て行ってしまった。