夢幻なる絆

□1.出会い
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「うぁ〜、きれい〜」
「この数日いろいろ教えてもらったからね。そのご褒美だよ」
「ご褒美ですか。物はいいようですね」


浅はかな未来の知識を絞られボロボロになり今日も寝ようと思い準備をしようと思ったら、いきなり帯刀さんがやって来てこれから出掛けようと言いだしたのだ。
訳も分からないまま駕籠に乗せられ、連れてこられたのは仁和寺。

境内に入り私達を迎え入れてくれたのは、満開に咲き誇る美しい御室桜達。

御室桜と言えば樹高が低くく染め遅れ咲きで、有名な桜だったと思う。

夜桜と言うこともあり更に幻想的で大人気なく騒いでいると、帯刀さんは私の隣にやってきてそう言い微笑む。

一瞬胸が高鳴り頬が赤く染まるものの、負けるまいと生意気なことを言い返す。

私が帯刀さんに恋するなんてありえないし、平凡以下の私を帯刀さんが相手にするはずがない。

しかも帯刀さんって、私よりも年下だからね。
恋愛対象外だ。
私って年下の男の子は、リアルでも二次元でも可愛い子にしか興味がない。

「凪くん、今変なこと考えてない?」
「考えてないですよ。そう言えば帯刀さんって、好きな人いるんですか?」

また自分の立場が危うくなりかけたから、しらを切りつつ興味本位でそんなことを尋ねてみる。
いくら自分は一生独身でいると決めたけれど、恋バナに興味がないわけじゃない。

「気になる?」
「そりゃぁ、小松帯刀がどんな人と結婚するのか知りたいですからね」
「ふ〜ん。君の知ってるその私は、結婚してるの?」
「はい、してますよ。愛妻家だって言われています」
「私が愛妻家ね。そうなると思う?」
「うっ・・・、思わない」

問われて考える前に答えは出てしまい、そこで会話は速攻終了する。

聞いた私がバカだった。
きっとこの人本気で誰かを好きになったことがない上、恋愛は娯楽程度だとしか思ってないんだろうな?

頭脳明晰容姿端麗おまけに地位も財産も持っている。
どこをとっても完璧な人。
結婚相手など選び放題・・・か。

同じ独身貴族でも相手がいない私とは、大きな違いだな。


「未来では好きな人と結婚出来るの?」
「もちろんです。・・・あっこの時代は政略結婚がほとんどでしたね」
「まぁね。でも私はこんな身分制度なんて早くなくなれば良いと思っているから、そう言う結婚はするつもりないよ。私の代でなくなった方が清々するからね」

帯刀さんらしくない問いだったけれど、私の答えに対しては答らしい意見だった。

身分制度が廃止して、平等な世界を作りたい。
自分のような家格の高い者は消えるべきだ。
それが帯刀さんの目指している国だと言っている。
なんかちょっと悲しい気がする。


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