夢幻なる絆

□1.出会い
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「ならまず君のいる未来の日本の話をして」
「未来と言うか日本は今よりか断然平和ですよ。戦はないですし身分も性別も関係ない、実力があれば何にでもなれる今にしてみれば理想郷ですね。生活も楽になってこの時代では考えられないような技術が発展しています」
「へぇ〜それは興味深い話だね。それで君は何してるの?」
「私は公務・・地方の役人で図書の管理をしています」
「凪くんが役人ね。本当に自由な世界なんだ。結果的に私達がこれからやろうとすることは、無駄にはならず実ったんだね」
「そうですね。今の人達がいてくれたからこそ私達は自由だし、それから世界大戦に負けたおかげで平和で経済も発展したんだと思います。それと信じられないと思いますが、未来の日本は世界を引っ張る国の一つなんですよ」

朝食を取りながら早速聞かれる帯刀さんの問いを、帯刀さんにも分かる言葉を選び分かりやすく答える。

帯刀さんは好奇心旺盛な少年のように目を輝かせて夢中で聞いてくれるから、私は嬉しくていらぬ解釈付きで自慢げに付け加えてしまった。

実際この数年ゆとり教育が原因で日本のレベルが落ちていたりするんだけれど、そんな細かいこと帯刀さんには関係ないだろう。

それにレベルが落ちたと言ったって、私達は自由気ままな生活を送れている。
大概の欲しい物ならお金を出せば、なんでも手に入る世の中だ。

少なくても私はこの世の中に、満足している。

「それはすごいね。私の理想その物だよ」
「はい。遠くの人と会話が出来る電話って言う物もありますし、姿を映すテレビって言うのもあります。写真なんか色づきですよ。実物を見せられないのは残念ですけれどね」
「まったく想像できない未知の世界だね。だったら凪くんは早く元の世界に戻りたいんだろうね」
「え、あそんなことまったく考えてなかったや」

感心しまくる帯刀さんの素朴な問いに、私はハッとして頭をかきながら明るく笑う。

言葉通りそう言う事なんて、まったく考えていなかった。

そうだよね。
私元の世界に、帰える方法を探さなきゃいけないんだ。

・・・でも、そんな方法あるのかな?

「凪くん?」
「いやあまりにもここが居心地良くって、ついそこまで考えていませんでした」
「本当に凪くんは面白いね。凪くんさえ良ければ、ずっーとここにいてもいいんだよ。君一人ぐらい、ここに置いといたってどうてことないし。・・・使い方によってはこれからの最大の武器になるからね」
「おお気持ちだけ、ありがたく頂いておきます」
「クッ・・・冗談だよ。じゃぁ今度は・・・」

言うと思った彼のまっ暗い本音を囁かれ丁重にお断りをすれば、またからかわれていたらしくさらりと流されいつもどおりなかったかのように話題を変えられる。

このコンボにいい加減になれたいと思うのだけれど、頭の良い帯刀さんの方が私より一枚も二枚も上手であった。


・・・我ながら情けない。



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