夢幻なる絆
□1.出会い
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「・・・あれ、ここはどこ?」
目が覚めると、そこは見覚えのない部屋だった。
身を起こし辺りを見回しても、やっぱり見覚えのない場所。
無駄に広い畳の部屋で、床の間には桜を主張した生け花が飾られている。
しかも私の今の服は和服の寝間着で、こんなの私の物ではない。
「やっと目が覚めたんだね。気分はどう?」
「え?あっ・・・小松帯刀・・・さん」
障子が開きそう言いながら部屋に入ってくる男性の姿を見て、ようやく私の置かれている立場を思い出し沈んだ。
・・・夢じゃなかったんだ。
「凪くん、そんなご丁寧に呼ばなくても、私のことは帯刀でいいよ」
「じゃぁ、帯刀さん。信じられないと思いますが、どうやら私はタイム……過去にやってきたらしいです」
「いきなり突拍子のない事言うね」
「自分でもそう思いますが、これは真実なんです。私は約150年後の未来からやって来たんです」
信じられない真実を帯刀さんに話せば当たり前のように驚かれたけれど、私は構わず落ち着いて話を続ける。
帯刀さんは私がここに来た一部始終を見ているから、ひょっとしたら信じてくれるそんな淡い期待があった。
それに隠し事が極端に下手な私には、上手く嘘を付ける自信なんかさらさらない。
下手な嘘を付いて誤解されて、処刑されるなんてまっぴらごめんだ。
「150年後の世界。これはまた大きな事言ってくるね。私は非合理的なことは信じないんだけどね」
「別にすべてを信じてもらわなくても構いません。でも帯刀さんは私がいきなり現れたのを見てるでしょう?あれはどう説明するんですか?」
「確かにね。でもそれは凪くんが怨霊だと言う可能性もあるんじゃない?」
「お怨霊?それこそ非合理的な発想だと思うけれど………」