夢幻なる絆

□1.出会い
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「ここは死後の世界?」
「はぁ?」
「だとしたらあなたは神様の使いの人?」
「君はバカなの?」
「いや、これでもいたって真面目なんですが・・・まぁ私は確かにバカですけれど・・・」

どう考えても納得いく回答がでないため取り敢えずあんま認めたくないことを男性に問いてみれば、男性はあきれ顔に変わりため息交じりで面と向かって図星をズバっと言われてしまった。


確かにこんなこと聞く奴は頭が怒れている奴だと思われてもしょうがないけれど、何もそんなハッキリと言うことじゃないじゃん。
かと言って陰口叩かれるのは、もっとムカつくけれどね。


すると男性はなぜかクスクスと笑い、私に手を差し伸べてくれる。

「・・・。まずは着替えを用意させるから、それに着替えからじっくり君の話を聞くよ」
「あ、ありがとうございます。私の名前は島崎夕凪。凪って呼んで下さい」
「凪くんね。私は小松帯刀」


「はぁ、コマツタテワキ?え、え〜???」


こんな得体の知れない私を冷たいながらも親切にしてくれる男性の手を取り、自ら名を名乗り立ち上がろうとしたんだけれど、男性の名を知った瞬間声を上げバランスを崩し再び池の中へと落ちてしまった。

今度は小松帯刀と名乗る男性も一緒に・・・。

「いきなり何?私を知ってるの?」
「あの小松帯刀さん。すみませんが今年は何年ですか?」

物の見事にずぶ濡れになりこめかみをピクピク痙攣させ怪訝しく問う小松帯刀さんに、私は第三者から見ればバカを通り越したことを恐る恐る問い返す。


小松帯刀。

幕末に実在した薩摩藩の家老。
寛容で雄弁明快な人柄で人望が厚く、坂本龍馬と仲が良かったらしい。
今で言うエリート。

また愛妻家で坂本龍馬より、早く新婚旅行に行っていたとか。


もしこの小松帯刀がそうだったら、私は私は…………。

「今年?文久三年だよ。それがどうしたの?」


「ぶ文久三年??」

そんな小松帯刀さんの素っ気ない答えに私は更に大声を出し、あまりのショックに頭が真っ白になり気を失ってしまった。

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