夢幻なる絆
□1.出会い
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「ねぇ、帯刀さん?」
「なんだい?」
「仔猫ちゃん、飼ってもいいですか?」
「ミャ〜ン」
腰が抜けると言う失態をしてしまった私を帯刀さんは背負ってくれ駕籠に戻る途中、私は恐る恐るすっかり懐かれた仔猫のことをお願いしてみる。
仔猫も理解しているのか愛らしく鳴き、帯刀さんの頬をペロペロ舐めだす。
「凪くんがちゃんと、面倒見るなら構わないよ」
「ありがとうございます。私が責任を取って、ちゃんと最後まで面倒見ます。良かったね仔猫ちゃん」
「ニャン」
思いのほか簡単に許可出てて、私と仔猫は顔を見合わせ喜ぶ。
「重いんだから、暴れない。落とすよ」
「はい、大人しくしてます。・・・あれ、なんだかいきなり眠くなってきた」
今夜はどんな嫌みを言われても笑顔でかわせるぐらいの余裕がある私はそう言った途端、恐ろしい程の睡魔が襲い意識は朦朧とする。
まぶたがすごく重くなり、開けていることさえ辛い。
「・・・まったく。・・・いいよ寝ても」
「帯刀さんって優しんですね。おやすみなさい」
好意に甘えて、私は目をつぶる。
帯刀さんの背中は、温かくって気持ち良い。
それになんだかいい匂いがする。
ピピピッ
「え・・・ここは?」
久しぶりに聞く目覚まし音に目覚めると、そこはお久しぶりの我が家だった。
あれ私・・・。
確か帯刀さんの背中で、爆睡してたんじゃなかったっけぇ?
目覚めたばかりで頭の中がふあふあしていて、今の状況を理解するのは難しく頭の中で多数のクエッションマークが浮かぶ。
何が何だか分からない。
「なんだ夢だったのか。それにしてもすごくリアルで長い夢だったな」
数分後ようやく目覚めた私はあれがすべて夢だったと自覚し、いつも通りベッドから起き上がりカーテンを開ける。
今日も良い天気で、太陽の日差しが心地よい。
そうだよね。
幕末にタイムスリップなんてそんな漫画みたいな事、現実に起きるわけないじゃない?
ましてはあの小松帯刀が、あんな性格してたはず・・・がない。
怨霊だってそう。
全部私の夢。
・・・だけど楽しい夢だった。
最後にちょっとしたラブロマンスもあったしね。
さ〜て、今日も仕事頑張ろう。