夢幻なる縁

□3章 四神の作り方
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「ねぇシュウちゃん。シュウちゃんは帆波が未来でどうしてたか知ってるの?」
「すみません。未来の四神はどうやら絶滅してしまったようで記憶の共有ができないのです。帆波の記憶の欠片である程度は分かりましたが、どうやら記憶の隠蔽がされているようです」
「え、記憶の隠蔽?」
「ええ、最後の記憶の欠片をみつければ、隠蔽を解くのは可能かと思われます」
「だったら早く見つけなさい。それとも何か見つけられない理由でもあるの?」

シュウちゃんの言い方にイラッとしたのか帯刀さんは急かせる。

「どうも未来の黒龍が持っているようなので、そう簡単にはいかないのです」
「相手はここでも黒龍なんだ」

いつにもなく慎重になっているシュウちゃんに意味を理解したのか帯刀さんは何か言いいたそうにも黙ってしまった。
確かに相手が四神よりも上位である黒龍ならば、ちゃんと策を練らないと返り討ちにあいそう。
本当は早くして欲しいけど。
だけどその隠蔽を解くことによって他のも解かれることはないんだろうか?
帆波には亜里沙の記憶を四神に隠蔽と言うか、封印してもらっている。
二人は本当の姉妹のように仲が良くある日突然いなくなったことが理解できなくて、いつまでも大泣きして落ち込んでいた。
あの時は三歳になったばかりの幼子だったから無理もない。

「凪、大丈夫ですよ。帆波が亜理紗を思い出す可能性は高いと思いますが、今ならきっと受け入れられると思います。それにどうもその封印が解かれかけているようで、先日自分には姉がいたのと問われました」
「だろうね? 帆波は神に愛されてる人の子。いつの日か自力で解くと思ってたよ」
「え。そうなんですか?」

私の不安に思うことを読まれて優しく大丈夫と励まされる以上に、涼しげにこうなることを予想していた帯刀さんことにびっくりする。

帆波はそんなに……四神の神子と星の一族でもあり龍神の神子の子孫。
すごい人の子だったね。
帆波こそが四神の天子に相応しいんじゃないだろうか?

「夕凪にも理解できたようだね? そう言うことだから私達も覚悟を決めよう」

どこか淋しげに帯刀さんが言うからして私が思う話す覚悟ではなく永遠の別れの覚悟なのかも知れない。
未来人の藤堂さんと結ばれることは、永遠の別れになることもある。
淋しくて悲しいことだけれど、帆波が幸せならばそれでいい。でもなんでここ最近の帯刀さんはやたら物分かりがいいんだろうか?
少し前なら絶対反対していたはずなのに。

「帯刀さん、何かあったんですか?」
「夕凪が言ったんでしょ? 私達には先がないって」
「そんなはっきりとは言ってません。……え、まさか私達もうすぐ死んじゃうの?」

心配になって真相を聞き出せば物騒な解釈をされていて、訂正する中とてつもなく嫌な予感が過り恐怖が襲い泣きそうになる。

私達は長く生きすぎているからいつ死んでもおかしくないとは思っていても、死を想像すると今になっても怖い。
でもきっと私達は十年も生きていられないよね?

「すまない。少し言い過ぎただけで、そこは分からない。だから落ち着きなさい」
「そうですよ。しばらくはまだ大丈夫ですよ」
「………はい」

死に怯える私をぎゅっと抱きしめ背中をさすり申し訳なさそうに謝る帯刀さんとシュウちゃんの優しい言葉に、恐怖はさっと消え涙をぬぐい笑顔を作り二人に向ければ二人もホッとして同時に笑う。

死ぬのは怖いけれど、私の人生は幸せだったから受け入れるしかないよね。

………今じゃないけど。


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