夢幻なる縁

□3章 四神の作り方
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 なんだかんだで式場の下見だけすることになったはずなのに、とある教会でなぜか純白のウエディングドレスまで着せられてしまった。
 博士は相変わらず口も達者。

「とても似合っててきれいだよ」
「ありがとうございます。でもなんで?」
「ずーと見て見たかったんだよ。あの時はバカみたく終戦させることばかり考えていたじゃない? どんなに辛くても逃げ出すことなんて許されなかった」
「私はそれでも博士といられて幸せでしたよ。……もしかして辛いんですか?」

 私をギュッと抱き締め小声で辛そうにそう囁くから、私も強く抱き返し心の底から思っていることを伝える。
 姫だってきっとそう思っていた。
 そして博士の弱音はすべて受け止めると決めたからそう言ってもらえると嬉しい。

「……僕にはもう後がないんだよ。しくじれば黒龍の生け贄になるだけ」
「私が博士を黒龍から守ります。だから私を信じて下さい」

 博士の震える手を強く握り力強くそう断言する。

 でもだからと言って私は命をかけたりはしない。
 両方守って私は博士と幸せに……なれるんだろうか?

「ありがとう。帆波はこの世界が好き?」
「当たり前じゃないですか? この世界は私の故郷で大切な家族がいるんですよ。博士だって大切な人たちが守っていた世界だからその意思を受け継いだんですよね?」
「そうだったね。ごめん」

 今の博士は不気味なほど素直で怖いぐらいだけれど、これが本当の博士だって私は知っている。

「分かってくれれば良いんです。じゃぁ次は神社の見学ですか?」
「そうだね。と言いたい所だけど、どうやら時間切れ。今度は会食に行く支度をしないとね」
「そうですね」

 なので私も乗り気になりかけてしまい次も期待を込めて言えば、どうやら時間切れのようでちょっと残念に思った自分がいた。
 でも会食は会食で楽しみだったりする。




「帆波、左手を出して」
「あ、はい」

 会食の服をコーディネートしてもらい会場に向かう車内で突然そう言われたのでとっさに手を差し出せば、博士は私の手を持ち大きいダイヤの指輪を薬指にはめてくれる。

「はい、婚約指輪。これで帆波は僕だけの物だから、他のやからに目を向けない。約束」
「ありがとうございます。でも……」
「前のは前の。あれは小さかったからね。それとももっと大きいのが良かった?」

 嬉しいはずなのになんだかモヤモヤしたのは姫に申し訳ないとかじゃなくって、前にちゃんと婚約指輪をもらった気がするからいらないと言う気持ち。
 どんなに高価な物でも、私にはあの婚約指輪の方が大切で………。
 ……でもそんなはずはない。
 博士と婚約したのは私ではなく姫なのだから。
 私は何と勘違い
 あれ?

 なぜか急に頭が重くなり頭痛に襲われ意識が遠退いていく。
博士は不気味に笑いダイヤはあっと言う間に黒ずんで

キー


「帆波から離れろ」
「え、青龍?」

 いきなり急ブレーキがかかり強引に止まったと思えば、ドアは無理矢理開きすごい剣幕の青龍が私を博士から奪い車から引きずり下ろされる。

パリン


 そして黒ずみ嫌な気を漂わせたダイヤを破壊。
 頭痛は嘘のように消え、意識が元に戻る。

 一体何が?



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