夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「凪、I LOVE」

ドゲシ


戸を開けると同時にクロちゃんが告白しながら私目がけて飛び込もうとするが、こめかみをピクピクさせすかさず私をガードする帯刀さんに叩かれあえなく撃沈。
あっけない一面だった。

クロちゃんが英語・・・アーネストに習った?

「何をする帯刀?」
「クロ、私の妻に告白しないで欲しいね」
「なんのことだ?私はただ凪にお帰りなさいと・・・」
「無駄だよクロ。私も最近南方先生に、英語を教わっていてね。私の妻がどっかの大馬鹿者に英語で口説かれないようにね」

たちまち二人は激しい口論となりシラを切ろうとするクロちゃんだったけれど、すぐに嘘だと見抜かれ私の肩を抱き寄せ警告する。
意外すぎる展開に私の頭はついていけなくて、口を開けたままポケッとしてしまう。

・・・帯刀さんまで英語を習う?
しかもアーネストじゃなくって、南方先生に?
なんでわざわざ?
お隣さんだから?

「クロ、だから言ったでしょう?そんなことをやっても無駄に終わると」
「うっ・・・。なら今度はイタリア語という言の葉を、アーネストに習うことにする」
「・・・凪に分からない言の葉を習ってどうする?」
「馬鹿馬鹿しい。人の子の言の葉で、この想いを伝えるなど」
「凪は我らの神子だが、れっきとした人の子だぞ?」
「・・・・・。そうだったな」

こうなることをすでに予想していたのかシュウちゃん達はため息交じりでそれぞれの忠告をしシュウちゃんとシロちゃんの言うことには従うクロちゃんだったけれど、アオちゃんの意見には逆に突っ込みを入れ黙らせてしまった。
確かに私は人の子だけれども、アオちゃんの言い方が気になる。

人の子の言の葉で思いを告げる・・・。
何をどうやって告げる気なの?

「まったく油断も隙もない。あなた達は夕凪を護るだけだと何度も言っている筈なのに、どうして学習をせず愚かなことばかりするわけ?四神は揃いも揃って馬鹿なの?」
「帯刀、私達は凪が大好きなのです。ですから凪の笑顔は護ることを誓います」
「小松帯刀心配などいらぬ。我等が全力で凪を口説こうが、凪の心にはお主しかおらぬ」

それが帯刀さんには気に入らないのかいつものこと言って馬鹿にして罵るけれど、シュウちゃんとシロちゃんは迷いもなく強く答えクロちゃんとアオちゃんは無言のまま頷く。
なんかそう真顔で言われると、照れて何を言っていいのか分からない。

でもその通りなんだよね?
私の心は何があっても、帯刀さんの愛は揺るがない。

「帯刀は心が狭いな。凪が多くの者から愛されるのは、良いことではないのか?私なら誇りに思うぞ」
「さよう。我も同感だ」
「なるほど。クロとアオの好きはそう言う好きね。私も妻がそう言う意味で好まれるのなら誇りに思うよ」

恥ずかしい内容は更に続くものの好きと言うニュアンスが異なることが発覚し、帯刀さんの機嫌は少しだけよくなり二人の意見に合わせ笑う。

愛と好きの違いは大きい。
これには私も少々勘違いしてたから、これからはそう言う好きで接することができる。

「私も四神達のことは、大好きだよ」
「凪、気を遣わせてすみません。ありがとう」

だから私は気兼ねなく大好きだと告げると、シュウちゃんは申し訳なく言いながらも嬉しそうにしてくれる。
他の三人もそれは同じで、帯刀さんもこの件については意見することはなくなった。




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