夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「お帰り、夕凪?」
「ただいま帯刀さん。どうかしましたか?」

いつも通り帯刀さんに受け止められ無事に来たのはいいけれど、帯刀さんは驚いているのか予想外の態度をせれてしまう。

今回はシロちゃんから、知らされてない?
それともまさか迷惑だった?

不意に不安が押し寄せ、悲しくなっていく。

「突然だから驚いただけ。だからそんな顔しないの」
「迷惑じゃないですよね?」
「当たり前でしょ?今日をどれ程待ち望んでいたのか、夕凪に分かる?・・・寂しかった」

と帯刀さんは素直な気持ちを私にぶつけ、私を強く抱き締めてくれる。
それは嘘偽りがないことが私にもすぐにわかり、不安がサッと消え去った。
そして久しぶりの帯刀さんの心地いい温もりを感じ、私の心は癒され嬉しくて涙が溢れ止まらない。

私だってこの日をずっーと待ち望んでいた。
この帯刀さんの素肌の温もりが・・・え?

「帯刀さん、もしかして着替え中だったりします?」
「そうだよ。それがどうしたの?」

あることに気づき恐る恐る確認してみると、当然とばかりに肯定され逆に訳を聞かれる。
聞いた瞬間涙は止まり身体中が燃えるように熱くなり、おそらく私の顔は真っ赤になっているだろう。
なんてタイミングの悪さ。

「何そんなに恥ずかしがってるの?私の素肌なんて、見馴れているでしょ?」
「そうですけれど、いきなりだから心の準備がまだ・・・」

そんな私に帯刀さんはわざと耳元でそっと問うから小声で答えて見るものの、あまりにも幼稚な内容にセリフを中断してしまう。
確かに今更の反応だ。

「まったく私の妻はいつまでたっても初なのだからね。だったらその気にさせてあげる」
「え、それは・・・」

やれやれと言った感じで帯刀さんは、私を布団に寝かせ服を脱がせようとする。
それはいつもと同じパターンで普通であれば当然のことだけれど、今の私は普通じゃなくってそれ以上が凄く怖い。

お互いに傷つく。
だから今はそう言う行為をしない方がいい。

「・・・もしかして私を拒んでる?」
「拒んではいません。拒まれるのが怖いんです。だって私の四神の神子だから・・・」

そんなに私は嫌がっている表情らしく帯刀さんは手を止め脅えた眼差しを向け問うから、私は首を横に強くふりちゃんとした理由を答えた。

本当はやって欲しい。
もっと帯刀さんを近くで感じて、幸せを心行くまで味わいたい。

「夕凪は四神の神子である前に、私の最愛の妻でしょ?大丈夫それは見ないようにするから」
「・・・。だったらブラジャーは脱がせないで下さい」

帯刀さんにしては珍しい中途半端で非合理的な解決方法に、私は少しだけショックを受けながらも話に合わせてそう告げる。

嫌な思いをするのは私だけで十分。
四神の神子の刻印はあっちの世界にも刻まれたままで、なるべく見ないようにスポーツブラに変え隠している。
別に四神の神子を嫌ってことじゃないんだけれど、帯刀さんのあの時の顔が思い出してしまうから。
忘れたくても忘れられない。

「分かった。愛してる夕凪」
「私もです」


久しぶりの夫婦の時間は始まり、それは明け方まで続くのだった。




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