夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「マリアちゃん、コロ、おはよう」
「ワンワン」
「おはよう祟?」

朝起きてダイニングへ行く途ご機嫌の祟に呼び止められ、何事もなかったかのように普段通りの朝の挨拶をかけられる。

お兄ちゃんが言っていた通り、一晩寝たら元に戻った?
だとしたらもう昨日のことは触れないようにした方がいい?
でも・・・

「マリアちゃん?」
「祟、左手出して」
「え?・・・うん、いいよ」

これだけは渡たしたい物なので祟の瞳を見つめながらお願いすると、祟は最初は戸惑いの顔を見せるけれどすぐに頷いてくれ左手を出してくれた。
だから私は夜遅くまで掛かってどうにか仕上げたビーズの指輪を薬指にはめる。
お兄ちゃんをシンプルなのが良いんじゃないかってアドバイスをもらったから、シンプルな私と同じ色の指輪。

「祟、結婚は私達が大人になってからでもいい?」
「うん。ボクもそう思い直してた所なんだ。ボク達にはまだ結婚は早いからね」

私の問に祟も嫌な顔をせずそう答えてくれて、ギュッと私を抱き締めいつもと同じ頬にキスをする。
怒ってないようで良かった。

「ありがとう祟」
「ボクもありがとう。この指輪すごく嬉しいよ。これさえつけていれば、もうボクは独りじゃないんだって思える。マリアちゃんと渓兄が現れるまでボク独りだったから寂しかったんだ」
「そうだね。私も独りは寂しい。だから今はお兄ちゃんも祟もコロもいるから楽しい」

祟の言葉が良く分かるから、私も思いを告げる。
家族以外で私を分かってくれた人は祟が初めてだから、祟は私にとって特別で大切な存在。
これを好きだとお兄ちゃんは教えてくれた。
するとどこからか拍手が聞こえ音のする方に振り向くと、そこには笑顔のお兄ちゃんがいて拍手をしている。

「はい、大変良くできました。でも祟残念だったな。俺の次で」
「別に気にしてないよ。どう逆立ちしたって、マリアちゃんと渓兄は結婚できないもんね」
「?お兄ちゃんは私と結婚したいの?」
「いいや。俺は一生マリアのお兄ちゃんだ」

お兄ちゃんの言葉が気にさわったのか祟は少しだけ意地悪口調でそう言い私は首を捻り問うと、お兄ちゃんは首を横にふり私の頭をなぜた。

結婚はなんでか知らないけれど、父子や兄妹だと出来ないらしい。
そして家族と恋人の好きは違う。
これは最近ようやく私にも分かり始めている。
お兄ちゃんと祟の好きは違う物で、お兄ちゃんはずっーと私のお兄ちゃんでいて欲しい。

「うん。お兄ちゃんは私のお兄ちゃん」
「それはそれである意味嫉妬するんだけど。まぁいいか」
「そうそう。じゃあ仲直りもすんだことだし、朝食にしよう。本日のメニューはお兄ちゃん特製栄養たっぷりマフィンサンド」

諦めと似た感じで祟は何かを呟きようやく顔が晴れると、お兄ちゃんは祟の頭を軽く叩き違う話を切り出し笑う。
それを聞いた瞬間、私と祟のお腹がの音がグッーと同時になる。

お兄ちゃんが作る栄養たっぷりマフィンサンドは私も祟も大好きで、しかも昨日の夕飯は二人共あまり食べてなかった。
だからお腹が鳴るのは当然のこと。

「やったね、マリアちゃん」
「うん、私お腹すごい空いてる」
「だろう?沢山作ったから好きなだけ食べていいぞ。祟専用の激辛もあるからな」
「さすが、渓兄。だからボク渓兄も大好き」

って言いながら私達三人は、ダイニングへと向かう。

こんな風に楽しい毎日が、一生続けばいいと私は思っている。




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