夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「マリアちゃ〜ん、お帰りなさい。わぁそのツインテールすごく可愛い」
「ただいま、祟」

久しぶりに元の世界の我が家に帰ると満点の笑顔を浮かべた祟が出迎えてくれ、いつものように私を抱き締めてくれる。

祟は今日も笑顔だったから、私も嬉しい。

「おい、祟。俺を忘れるな」
「あ、渓兄もお帰り」

お兄ちゃんに言われ祟はそう言うけれど、私の時と違って明らかについでと言う感じだ。
でも祟だって、お兄ちゃんのことは好きなはず。
いつも私に本当のお兄ちゃんだったら、良かったのにと言っている。

祟の本当のお兄ちゃんは、祟を大切にしてなくてどこが冷たい人だった。
そんな意地悪なお兄ちゃんがこの世にいるなんて、それまで私は夢にも信じられなかった。
私のお兄ちゃんは、私に優しくて大切にしてくれてる。
お兄ちゃんやお姉ちゃんとは、下のことを大切にする者だと思ってたから。
だから祟のお兄ちゃんは、私は嫌いだ。

「なんだよ。俺には素っ気ないな」
「だってマリアちゃんはボクの花嫁さんなんだよ。帰りが渓兄より、待ち遠しかったのは当たり前だよ」
「そりゃそうだな。なら邪魔者は、しばらく退散するよ」

ってお兄ちゃんは軽く笑い私と祟の頭を軽く叩き、自分の部屋に戻っていく。


「渓兄って本当に理解あるって、寛大な人だよね?ボクとマリアちゃんの仲を認めてくれて、温かく見守ってくれるんだもん。お姉ちゃんのことしか考えていなくて、すぐに独占しようとする瞬兄や都姉とは大違い」
「祟・・・」

とお兄ちゃんの後ろ姿を見ながらお兄ちゃんのことは良く言うけれど、家族のことは憎しみを込め寂しそうに呟く。
そんな祟を見ていると私まで悲しくなり、何を言えばいいのか分からず手を強く握る。

祟の悲しい顔なんて見たくない。
私には何が出来るんだろう?

「マリアちゃん、そうな顔しないで。渓兄はボクのことを本当の弟だと思ってくれてるし、何よりボクの未来を作ってくれるって言ってくれているんだ」
「うん。私に出来ることなら、なんでもするから言って」
「僕もだよ。マリアちゃんのためならなんでもするよ。絶対に未来を変えて見せる」

少しだけ元気になってくれた祟と私は、何度も交わした強い約束を再び交わした。
お姉ちゃんと言う人が祟を滅ぼす未来が、祟には幼い頃から見えているらしい。

そんなこと絶対にさせない。
だから私は凪と帯刀を仲間にするため、二人に接触して仲良くなった。
二人が私達の仲間になってくれれば、お姉ちゃんと言う人の企みは砕かれる。

「凪と帯刀は仲間になってくれる?」
「なってくれるよ。だって凪さんはボク達の仲間になった方が、良いに決まっているからね」
「そうなの?なら良かった」

ふっと疑問に思い祟に問うと、そう答えてくれる。
それはなんでだか理由は分からないけれど、祟が言っているんだから疑う必要はない。

本当に良かった。

「ねぇ、マリアちゃん。ボクマリアちゃんに見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
「うん、だからボクに着いて、手を繋いだまま行こうか?」
「そうだね。そうしよう」

いきなり話が変わって祟の顔に笑顔がやっと戻ったから、私は祟が言う通りすぐに頷き賛成した。




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