夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
3ページ/36ページ


「・・・アーネストの好きな人って、お義姉さんだったりするんじゃないんですか?」
「は?ない、ない。それだけは絶対にありえないよ」

すべてを話し終わると雪ちゃんは慎重に考え言葉を選びながら問うけれど、それはありえないことで私は心底笑い速攻否定した。

アーネストが私に恋愛感情を抱いてる?
そりゃぁ確かに私は既婚者だけれど、アーネストと私はただの悪友。
私と帯刀さんが相思相愛だってことをよく知っているし、私がアーネストに好まれる要素がまったくない。
そもそもそんな推測の話題になったって話したら、皮肉のオンパレードになるって相場が決まってる。

「そうなんですか・・・。でもあんまりお見合い話をしたら駄目ですよ。アーネストって意外に頑固で意地っ張りな所がありますから」
「あ、言えてる。日本オタクでたまに暴走してる癖して、それを突っ込むと痛すぎる言い訳したりするんだよね?そう言うのが帯刀さんにしてみれば、かっこいい獲物でさもう大変」
「やっぱりそうなんですよね?想像するだけで、もうたまりません」

そこから徐々にオタ話見たいな恋話へと発展して行き、私達のテーションは上がり大輪の花が咲く。
こう言う話は雪ちゃんぐらいにしかできないから、新鮮で楽しくて仕方がない。
雪ちゃんがすべてを受け入れてくれたから、こうやってなんでも話せて相談出来る。
こっちの世界でなんとかやっていけるのは、きっと弟と雪ちゃんのおかげだと思う。

「この前もね。アーネストが日本の菓子ことを熱く語りすぎて、帯刀さんにからかわれてね・・・」
「本当にお義姉さんが羨ましいです。お義姉さんにとっては遙か5の世界は現実世界なんですからね。私も行ってみたいな」

それは遙か大好きな人達全員が雪ちゃんと同じ気持ちで、そう思うのは当然のこと。
私も好きなゲームやアニメがもし実在していたら、一度で良いから行ってみたい。
だからそんな雪ちゃんの願いを義姉として叶えてあげたいけれど、それってやっぱり難しいことなんだろうか?
帯刀さんがこっちに来るのと同じぐらいに・・・。

「・・・写真沢山撮ってくるからね」
「はい。可愛い四神の写真もお願いします。特に白虎が滅茶苦茶可愛いくて、もう私メロメロなんですよ」
「シロちゃんは本当に愛らしい姿だもんね。アオちゃんもシロちゃんに劣らず愛らしい・・」

凹みそうになりこのままでは駄目になりそうだったから、話を少しだけ変えれば今度は四神達の話題。
四神達の話ならいくら話しても凹まない自信があるから、それで盛り上げまた楽しい気持ちになろうとした時、突然ブレスレットが光り出す。
私が戻りたい場所に、戻れる合図。

「どうやら時間のようですね。気をつけて行ってきて下さい」
「うん、分かった。じゃぁいってきます。もし戻ってこなかったら、あとのことは宜しく」

この時のためにあらかじめ用意して置いたリュックを背負い、消えていく前に以前弟に言ったのと同じことを雪ちゃんにも伝える。
雪ちゃんは言わなくても分かっているようで、微笑みながら何も言わずに頷き手を振ってくれた。

そして私の意識は遠のいていく。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ