夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「奥様、旦那様がお帰りになりました」
「はーい、今行きます。アーネスト、そう言うわけだからちょっと待っててね」
「お客より夫を優先するとは、酷い人ですね」
「お客と言っても、友人じゃない?・・・変なアーネスト・・・」

梅さんの声が聞こえたから私は会話を中断させ帯刀さんを出迎えるためそう言えば、アーネストは子供みたいな変なことを言いだし引き留めようとする。
でも私は意地悪で言っていると思ったため、軽くあしらい玄関に急ぐ。

そりゃぁ大切なお客様だったらそんな失礼なことなんてしないけれど、相手は親しい間の友人でただ遊びに来ているだけ。
旦那様を優先させるのは当然のこと。
それに万が一出迎えなかったら、お仕置きされる。




「帯刀さん、お帰りなさい。アーネストが遊びに来てますよ」
「夕凪、ただいま。そう、サトウくんが。それでどこにいるの?」
「私の部屋です」
「梅が夕凪の部屋に通したの?」
「はい、そうですよ」
「・・・・・」

帰宅した早々帯刀さんは機嫌が滅茶苦茶悪くなり、無言のまま私と梅さんを無言で睨み付ける。
こんな帯刀さんにアーネストにチョコレートを貰いましたと言ったら確実に雷が落ちそうなので、あんまり気が進まないけれど内緒にしようととっさに判断した。
何かあったのだろうか?

「あの、帯刀さん?」
「夕凪は一体いつになったら、私の妻だって自覚してくれるの?」
「え、そんなのとっくにありますけれど・・・」

心配で恐る恐る聞いてみれば、強い口調で答えに悩む問いを投げられてしまった。
それは聞かれなくても私にはもう帯刀さんの妻であることが当たり前であって、答えた通りちゃんと自覚を持っている。
ちゃんと小松家の妻に慣れたのかは別として。
困り果てて梅さんに助けを求めるが、なぜか梅さんはおかしそうに笑っているだけ。

「いいや、ないね。だったらどうして自室に私以外の異性を、私が留守中に入れたりするの?それは不倫と取られても文句は言えない、夫を裏切る最低な行為なんだよ」
「・・・・・。すみません・・・」
「今後は大広間で面会すること。いいね?」
「はい・・・」

忠告されやっと帯刀さんの機嫌が悪くなった理由に気づき、いつものように私はシュンとなって小さくなる。

私また言われるまで気づかないで、酷いことをやらかしてしまったんだ。
なんで私は何回何十回言われても分からず、帯刀さんを傷つけてばかりばかりいる。
あれほどもう二度と帯刀さんを傷つけないってあんなに誓ったのに、私はどうしていつもダメダメなんだろう?
帯刀さんがもし私にいない所で帯刀さんが自室に例え咲ちゃんでも招いたら、私は絶対に嫌な思いして傷付く。

「梅も、良いね?」
「はい、分かりました。まったく旦那様はとんでもなく嫉妬深いので困ります。まぁ奥様も旦那様に熱愛ですから、ちょうど良いのでけれどね」

何も悪くない梅さんまでもがとばっちりを受けるけれど、梅さんはまったく気にしてないのかそう言って微笑むだけ。

そう、帯刀さんはとんでもなく嫉妬深い人。
そんなことは知っていて、私だって嫉妬深い。

「帯刀さん・・・」
「本当に君は大馬鹿だね。そんなに凹むのなら、最初っから自覚すればいいでしょ?」

最後は結局私は女の卑怯技である泣き落としと抱きしめて、帯刀さんにお許しを貰い落ち着くまで抱きしめて貰う。



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